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映画興行収入レポート2023初夏/『ワイスピ』『リトル・マーメイド』大ヒット、『岸辺露伴』『怪物』『スパイダーバース』もヒット

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2023年初夏の注目映画の興行収入まとめ。

 

  • ワイルド・スピード/ファイヤーブースト

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト

「岸田ファミリー」は政治の世界を賑やかしたが、「ドムらファミリー」は映画館を賑やかした。究極の「後付け」映画こと『ワイルド・スピード』シリーズ最新作『ファイヤーブースト』はオープニング興行収入9.92億円を記録してシリーズ最高のスタートを記録し、最終興行40億円が見込める大ヒット。これまでのシリーズの興行収入は1作目から「4.5億円→7.0億円→10.0億円→9.5億円→14.4億円→20.2億円→35.4億円→40.5億円→36.7億円」とコロナ禍のダメージがあった前作を除けば右肩上がり。日本では歴代最高も視野に入る大ヒットな一方で全米興行は1.5億ドル程度と製作費3.4億ドルに対して伸び悩んでいる。「完結編は前後編を予定していたが、前半完成後にスタジオ側が三部作での公開を提案してきた」という趣旨の報道もあったが果たして… 余談だが、作品の内容もあってか「他の映画より治安が悪い」との報告が多数されている。現に自分の観た回でも派手なカップルが遅れて入ってきて、女性の方は席に座って直ぐとエンディングに入って直ぐに堂々とスマホを確認していて最早逆にカッコ良いレベルだった。

 

ニュース|映画『ワイルド・スピード』

 

  • 岸辺露伴 ルーヴルへ行く

映画ノベライズ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く (集英社オレンジ文庫)

荒木飛呂彦原作の『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』をNHKがドラマ化した作品の劇場版『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が興行収入10億円超えのヒットを記録。本作は全国272スクリーンで封切られオープニング3日間で興行収入3.14億円を記録し、今年公開の全国300館以下の公開作品で最高の出足となっていた。2017年にシリーズ化を見込んでいた『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』の最終興行9.4億円を上回った。作品規模的に両作品で求められる数字が違うことを前提に本作は3年連続年末にテレビドラマが放送したことで原作及び俳優ファンだけでなく作品独自のファンを作り出せたのも大きかったように思う。パリ及びルーヴル美術館で撮影していることからスクリーン映えもし、評判も上々。各劇場でパンフレットの売り切れが続出するなど熱心なファンの存在を伺わせた。

 

映画『岸辺露伴』公開3日間で興収3億円突破 2023年300館以下の出足は最高興収 | ORICON NEWS

 

 

  • 怪物

怪物 (宝島社文庫)

日本で「LGBT理解増進法」が可決された6月、『そして父になる』『海街diary』『万引き家族』などの是枝裕和監督と『花束みたいな恋をした』などの坂元裕二脚本のタッグ作品が興行収入20億円に迫るヒット。本作は「怪物 だーれだ」と本編内容を極力伏せて「謎」を提示する構成の予告編やテレビスポットが採用されているが、公開前にカンヌ映画祭で「クィア・パルムドール賞」を受賞したことで「賞にネタバレされる」というあまり過去に類を見ない形のネタバレを割と多くの人が喰らう形になった。一方で本作はマスコミ試写段階から「セクシャルマイノリティに関する内容を伏せて欲しい」と箝口令が敷かれていたことから、「LGBTQをネタバレ扱いするのは如何なものか」との議論の発展。また是枝裕和監督が会見で「LGBTQに特化した作品ではなく、少年の内的葛藤の話と捉えた。誰の心の中にでも芽生えるのではないか」などと発言したことも一部では炎上した。ただ実際鑑賞した人たちの間では是枝裕和監督の発言に理解を示す考えが多く、「これぞ『怪物』の一幕目」と作品内容と重ね合わせる見方をする人もいた。

 

核心部分のネタバレは避けたい。しかしその方策への注意を深く考えさせられた『怪物』(斉藤博昭) - 個人 - Yahoo!ニュース

カンヌ映画祭便り:是枝裕和監督「存在しない怪物を見せる」 カンヌ映画祭記者会見 | 毎日新聞

 

  • リトル・マーメイド

パート・オブ・ユア・ワールド (From 『リトル・マーメイド』/英語版)

アメリカでは大ヒットも中国・韓国など世界興行はコケていると話題の実写映画版『リトル・マーメイド』は日本では興行収入40億円程度が見込めるヒット。通常実写洋画で興行収入40億円なら大ヒットではあるが、同じディズニープリンセスの実写映画版『美女と野獣』の124.0億円、『アラジン』の121.6億円と比べるとかなり物足りない数字。『マレフィセント』の65.4億円、『シンデレラ』の57.3億円、『ライオン・キング』の66.7億円と比べてもやや劣る印象。キャスティング発表時から「アリエルが黒人であること」が大きな注目を集めていたが、鑑賞した人の間では「赤髪白人のアリエルが見たかった」という気持ちを捨てきれなかった人も含めて「歌声は良かった」と好意的なレビューが多い印象。色々話題の本作だが、ディズニーにとって「黒人アリエルの意義をSNSで熱く語りながら映画を観に行く気がない人」と「映画を観に行った上で『赤髪白人のアリエルが観たかったな…』と不満を投稿している人」のどっちがありがたいのかは気になるところ。

 

 

  • スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

Spider-Man: Across the Spider-Verse: The Art of the Movie

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が最終興行10億円超えが見込めるヒット。オープニング興行収入は3日間で3.96億円と前作比182%のヒットスタートを切った。2019年公開の前作『スパイダーバース』は「アメコミがそのまま3DCGアニメになって動いている!」と評判は高かったが、日本では最終興行9億円と10億円を下回っていた。一方で本作は2022年公開『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のヒットの影響もあったのか、それとも配信で前作を観た人に「これは映画館で体験しないといけない映画だ」と思わせたのか、前作を大きく上回る数字となった。前作のように3D上映がないのがやや残念。作品の評価は上々だが「後編につづく」という展開が「ここで終わって1年も待たせるのかよ!」の声も。ただこれは作品が面白かった故のポジティブな怒りとして受け取っていいのだろう。

 

<『スパイダーマン』シリーズ最新作> 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』日本公開 初日初登場1位 初日単日興行収入が1作目対比 217%の驚異的ヒット! 全世界興行収入は約700億円突破! | ソニー・ピクチャーズ公式

 

  • ザ・フラッシュ

【映画パンフレット】 ザ・フラッシュ 監督 アンディ・ムスキエティ 出演 エズラ・ミラー、ベン・アフレック、

前作から興行収入を大幅に伸ばした『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に対して同日公開のDCEU最新作『ザ・フラッシュ』は興行収入10億円を下回る見込み。アメリカでの興行収入も前評判の異様な高さに対してイマイチだというが、冷静に考えれば「興行不振によって既に打ち切りが決まっている不人気ユニバースの一見さんお断りムードがビンビンに漂っているお祭り映画って、そりゃあ観る人限られてるよね」感はある。そもそも大抵の日本人にとって「フラッシュってそんなよく知らないんだよね…」という感じだろうし、マイケル・キートン演じるバットマンが刺さる層も結構限られている印象。「ユニバースは打ち切り」と言いつつ「興行次第では続編もやる」みたいなことを言ってる本作の立ち位置がイマイチハッキリとしないところも混乱を招いているのかもしれない。

 

 

  • 最後に…

6月は天海祐希主演の人気テレビドラマの完結編『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』も公開予定だったが公開が延期された。公式側は「総合的な判断」と明確な理由については説明していないが、警視庁に自殺幇助または殺人の容疑(場合によっては強制わいせつまたは強制性交の容疑も視野)で捜査を進められている出演者の猿之助の事件の影響であることは明らか。製作側は人気シリーズの完結編故にお蔵入りを避けるためにも代役を立てるまたは脚本を書き直して再撮影の方針だと一部では報じられているが、実際のところは定かではない。

 

猿之助事件に専門家は「この量の薬では死ねないはず」 未成年者への性加害疑惑も新たに浮上 | デイリー新潮

猿之助事件でまたもや延期…呪われた映画「緊取」の内容は? 「事件を予見していたかのよう」(抜粋) | デイリー新潮

 

  • おまけ

ドキュメンタリー映画ではWBCに挑む侍ジャパンに密着した『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』が最終興行10億円超えのヒット。当初は3週間限定の上映だったが、公開期間の延長が決まった。『東京2020オリンピック』とどこで差がついたのか… ただ映画界隈では後者の方が話題だった印象。

また広末涼子とのW不倫が報じられた鳥羽周作のドキュメンタリー映画『sio/100年続く、店のはじまり』も既に上映は終了しており、配信開始も決まっているが、今回の騒動から一部劇場で新たな上映が決まったという。余談だが公開当時広末涼子が絶賛コメントを送っている。予告編を観た後だと「別に交換日記とかどうでも良いけど、この内容の作品にコメント送ったの!?」感はあった。

 

【追記】結局『sio/100年続く、店のはじまり』は公開及び配信延期となった

 

“広末涼子と不倫”鳥羽シェフ主演ドキュメンタリー映画、7月配信開始 全国劇場からも公開オファー | ORICON NEWS

 

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