サブスク・配信なしのスタジオジブリ『君たちはどう生きるか』初放送12.4%、映画一桁時代に近年の宮﨑駿監督アニメの視聴率と比べて…

2025年5月2日(金)に金曜ロードショーでスタジオジブリ・宮﨑駿監督作品『君たちはどう生きるか』がテレビ初放送された。

地上波初放送前にサブスク配信

近年、テレビでの映画放送の価値はどんどん下がっている。一昔前ならその理由は「手軽に綺麗に録画出来る環境が整った(もしくはスマホ普及でテレビを見なくなった)」からだったが、今だとそれらの要因に加えてヒット作品なら地上波で放送される前にサブスクで配信されているケースも多いので、地上波初放送されても「ちょっと前にサブスクで観たばかりなんだよな〜」となりがち。例えば『君たちはどう生きるか』と共にアカデミー賞を受賞した山崎貴監督の『ゴジラ−1.0』は公開1年後に地上波で初放送されたが、その半年前にはアマプラで独占配信されていた。そういうケースを避けるためかテレビ局が絡んでいる映画だと地上波放送直後にサブスク配信が開始されるのも定番化(『劇場版名探偵コナン』シリーズや実写映画版『キングダム』シリーズなど)したりしてる。

映画の世帯視聴率は一桁が当たり前

そんな中、宮﨑駿監督が所属するスタジオジブリの作品は日本ではサブスクどころか配信すらしていない。劇場での上映が終了した作品を鑑賞するためにはソフトを購入するか、レンタルビデオ店でソフトをレンタルするか、テレビでの放送を待つしかない。昔のままなのだ。そのため「手軽に視聴出来ない人気作」として、地上波での映画の視聴率が一桁当たり前の時代(昨年『金ロー』枠放送映画で視聴率二桁をマークしたのは6本で駿アニメを抜くと3本、今年は本作が2本目で駿アニメを抜くと0本でコナン映画の初放送ですら一桁)において、宮﨑駿監督作品は繰り返し放送されているにも関わらず、未だに二桁を記録するケースが大半。そんな宮﨑駿監督の最新作が地上波で初放送されるとなれば「サブスク時代にオールド手法の映画の初放送は一体どのくらいの数字が取れるのだろうか」と個人的には注目していた。これからもテレビの視聴率はダウントレンドだろうし、「もうこのレベルの作品(サブスク配信なしの大ヒット作品でアカデミー賞受賞級映画)が放送されるケースもそうないだろう」という哀愁もあった。

『君生き』の視聴率は高い？低い？

そんな『君たちはどう生きるか』(最終94.0億円)の世帯平均視聴率は12.4％。10年前に初放送された前作『風立ちぬ』(最終120.2億円)の視聴率は19.5%だった。とは言っても、流石に10年前と比べるのは分が悪い。そのため近年の宮﨑駿監督作品の視聴率と比較してみると、昨年放送された『千と千尋の神隠し』は12.9%、『魔女の宅急便』は9.9%、『となりのトトロ』は13.4%、『天空の城ラピュタ』は13.7%、今年放送だと『ハウルの動く城』が11.0％。他作品と遜色ない数字だが、初放送ならもう一超え高い数字が見たかったのが本音。ちなみに昨年地上波初放送された新海誠監督『すずめの戸締まり』(最終149.4億円)は12.7%だった。『風立ちぬ』公開中に宮﨑駿監督が引退発表した際には「ポスト宮﨑駿監督なんているのか？」「もう日本で興行収入100億円超えの国民的作家なんて出ないんじゃないか」「細田守監督に賭けるしかないのか」みたいな感じだったけど、新海誠監督は『すずめの戸締まり』で『君たちはどう生きるか』に興行的には大幅に、視聴率的には誤差レベルとはいえ僅かに上回っているので、「時代ってのは変わっていくんだな〜」なんてことを実感したりする。

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最後に…

勿論、新海誠監督の活躍は宮﨑駿監督がアニメの地位を国民的にまで底上げした土壌故のものであり、また新海誠監督がアカデミー賞を受賞した訳でもないので、あまり「今はこっちのが上だ、下だ」などと必要以上に言っても仕方ない。新海誠監督が次回作で盛大にコケる可能性だってある。それでは最終的に何が言いたのかというと、「10年後なんて何が起きてるか分からない」ということと、「何だかんだで宮﨑駿監督は凄かったけど、興行収入は90億円超えの大ヒットとはいえ100億円割ったし、視聴率も今の時代難しい二桁を余裕で超えたけど、圧倒的な数字という訳でもないので、やや寂しい」という感じか。