2019年度映画興行収入上位10作品を紹介!
※後日『アナと雪の女王2』について追記予定です。
第1位 天気の子
興行収入:140〜142億円
グレタさんが気候変動を訴えるために「スクール・エスケープ」したり、河野防衛相の「私は雨男。大臣になって台風三つ」という不適切発言が話題になった2019年度の興行収入第1位に輝いたのは新海誠監督最新作『天気の子』。興行収入は140億円突破して、日本映画としては史上10作目の100億円突破作品となった。日本のアニメ映画界は「第二の宮崎駿」を作るべく、細田守・宮崎吾朗・米林宏昌などの映画を夏休み映画として公開し続けていたが、どれも興行的期待値には及ばなかった。そんな状況の中で、今まで小規模公開しかしてこなかった新海誠監督作品の『君の名は。』が大規模公開された。その結果、興行収入255.0億円と日本映画史上歴代2位のヒットを記録。新時代の幕が開けた瞬間だった。
新宿駅の南口は「天気の子 口」に生まれ変わりました!#期間限定 #天気の子 #お天気ガール #百パーセントの晴れ女 pic.twitter.com/wa4cT1b3TU
— 映画『天気の子』 (@tenkinoko_movie) 2019年7月19日
一方で『君の名は。』の次回作となった『天気の子』は、「前作の記録的ヒットを再び!」と大手企業とタイアップすることで公開直前は街中が『天気の子』一色に染まった。制作スタッフのプレッシャーは計り知れなかっただろうが、見事に2作連続興行収入100億円突破を実現した。ただし2作連続突破したことで、当然「次の作品も…」という期待という名のプレッシャーが今も新海誠監督には向けられていることだろう。
第2位 アラジン
興行収入:121〜122億円
眞子様と小室圭さんの身分違いの恋で日本中が話題になった2019年度の第2位はディズニーが過去の名作アニメを実写映画した『アラジン』がランクイン。6月というシネコンが閑散期となる時期に公開されは本作は、今年度の日本の映画興行を底上げしたといっても過言ではない。宣伝では有名な「A Whole New World」が前面に押されたが、本作を本当の白眉は実写映画版のために作られたオリジナル曲「speechless」。見事に過去の名作アニメを現代版にアップデートすることに成功した。
一方で日本では同時期に『メン・イン・ブラック インターナショナル』が公開。本シリーズはウィル・スミスが主演を張っていたが、最新作ではランプの魔人としては仕事で忙しかったのか降板している。その結果日本での興行収入は前作『3』の興行収入31.3億円から大幅ダウンで、最終興行10.3億円だった。
第3位 トイ・ストーリー4
興行収入:100〜102億円
「子供部屋おじさん」というワードが話題になった2019年度の第3位はピクサー最新作『トイ・ストーリー4』がランクイン。前作『トイ・ストーリー3』の興行収入108.0億円に続き、2作品連続興行収入100億円突破となった。興行面では前作をやや下回ったが、動員数では前作を上回りシリーズ1番のヒットとなっている。これは前作が3D映画ブームの全盛期に公開されたことから、チケットアベレージが高かったことが関係している。「あなたはまだー本当の『トイ・ストーリー』を知らない。」というキャッチコピーで公開された本作のラストは絶賛一色のアメリカとは異なり、日本では賛否両論となった。そのため少なからず興行的にダメージはあったはずだが、それでも100億円を突破したということは、それだけ『トイ・ストーリー』ブランドが日本で定着していることの現れなのだろう。
ちなみに同時期に「君を、生きろ。」というキャッチコピーで公開された山崎貴総監督による日本の3DCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』も賛否両論を巻き起こした。こちらは興行収入14〜15億円とオープニング興行に対して伸び悩んだ。
第4位 名探偵コナン 紺青の拳
興行収入:93〜95億円
第4位は未だにコミックス1巻が刷られ続ける人気漫画の劇場版最新作『名探偵コナン 紺青の拳』がランクイン。『名探偵コナン』は原作と劇場版を連動させた2014年公開の『名探偵コナン 異次元の狙撃手』から興行収入を急激伸ばし始め、7年前は40億円に満たなかった興行収入を90億円まで伸ばした。また7年連続興行記録を更新するなど、勢いは止まるところを知らない。一方で今年の映画は昨年公開の『ゼロの執行人』ほどの勢いが感じられないという声もある。その理由は「キャラクター人気の差」と「同時期公開作品の興行力の差」があげられる。特に昨年のゴールデンウィーク終了から夏休み時期までの間に公開された映画が立て続けに興行的に失敗していた。そのためいつまでもコナンがランキングトップを独占する他の映画からすれば情けない状況だった。今年はゴールデンウィーク中と終了後に公開された映画のヒット作が続き、ランキングが毎週入れ替わる理想的な状況だったといえる。
第5位 ライオン・キング
興行収入:66〜68億円
第5位はディズニーが過去の名作アニメを実写映画化した超実写版『ライオン・キング』がランクイン。とはいっても、オープニングのワンカット以外全て3DCGで作られた映画が、実写映画なのかには疑問の声が上がる。ただそれでも大ヒットとしたのだから、大抵の人はそんな細かいことは気にしていないのだろう。
『アラジン』『ライオン・キング』とディズニーの過去の名作アニメの実写映画作品は興行的に強いイメージがあるが、『メリー・ポピンズ リターンズ』は興行収入 11〜12億円、『ダンボ』は興行収入10億円と全ての作品がヒットしているわけではない。ただヒットした作品の利益は大きいので、今後もディズニーはしばらく過去の名作アニメの実写映画版を続けていくことだろう。
興行収入:65.7億円
第6位は『ハリー・ポッター』シリーズの前日譚を描くスピンオフ作品第2弾『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』がランクイン。同じく人気シリーズの『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品の興行収入は日本では惨敗に近い形だが、『ハリー・ポッター』のスピンオフ作品はまだまだ元気。本編と同レベルの興行収入を記録しているわけではないが、1作目の興行収入73.1億円からの下落率が低いことから3作目以降もしばらくは安泰だろう。やっぱり原作者本人が脚本を書いていることから、世界観が統一されてるのが日本で強い理由なのかな?
第7位 アベンジャーズ/エンドゲーム
興行収入:61〜62億円
第7位はMCU11年の集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』がランクイン。2008年公開の『アイアンマン』から始まったMCUだったが、日本では何故か2作目の『ハルク』から公開だったMCU。その後もフェイズ1の興行は振るわず、世界的には「あのヒーロー映画の主人公たちが同じスクリーンに!」という『アベンジャーズ』も「知らない人が集まった映画」扱いに… それでも既存ファンに叩かれながらも「日本よ、これが映画だ。」というキャッチコピーを作るなど、作品を重ねるごとにファン層拡大に成功。結局ディズニーが1作目から目標にしていた興行収入70億円には届かなかったが、歴代最高だった『アベンジャーズ/インフニティ・ウォー』の興行収入37.4億円を大きく上回る大ヒット作品となった。
劇場キャラバンwith名探偵コナン&#アイアンマン スタート✨
— 『アベンジャーズ』[公式] (@AVG_JP) 2019年4月29日
それぞれ<ある探し物>を追う途中の劇場で、偶然出会った2人💡
アイアンマンは、コナンのメカに興味を持った様子👀❓
そうこうするうちに、一緒に全国の劇場を回ることに‼️
\さぁ、レッツゴー/#アベンジャーズ #紺青の拳 pic.twitter.com/qWVOjUL6yd
ただ一部のMCUファンは本シリーズが思うようにヒットしないのが面白くないのか、何故か同時期公開の『名探偵コナン』に当たり始めるという光景がネット上には広がった。それを受けてかMCUとコナンのコラボ動画やアイアンマンとコナンがシネコンで仲良しアピールするなどの策が取られた。そこにはファンが歪み合わないための苦労が見て取れた。
ちなみに今年度公開のMCUとしては『エンドゲーム』の直前にして、これを観なければ『エンドゲーム』についていけない映画『キャプテン・マーベル』が興行収入20億円のヒットを記録。これは『アベンジャーズ』シリーズと『スパイダーマン』シリーブを除けばMCUで一番のヒットである。一方で『エンドゲーム』後に公開されたフェイズ3の最終作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は興行収入30億円超えと前作を超えたが、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのヒットには届かないという結果に終わった。
第8位 キングダム
興行収入:57〜58億円
第8位は累計発行部数4000万部を超える大ヒットコミックスの実写映画版『キングダム』がランクイン。メガホンを取った佐藤信介監督は『いぬやしき』と『BLEACH』、主演の山崎賢人は『ジョジョの奇妙な冒険』とシリーズ化を狙った人気コミックスの実写映画版を立て続けに興行的に失敗したコンビという不安もあったが、見事にその汚名を返上する大ヒットに繋がった。今回の数字は2010年度代に公開された人気コミックスの実写映画化作品のヒット作『るろうに剣心』や『銀魂』を上回っている。本作は原作のスケール感を再現するために興行収入40億円を超えなければリクープできない程の莫大な製作費が注ぎ込まれている。本作のヒットは「お金をかけてシッカリと作品を作り込めば結果はついてくる」という1つの成功体験になったことで、人気コミックの実写映画に関わる人達には大きな希望となったことだろう。恐らく続編も製作されると思うが、「あの悪夢のような人気コミックスの実写映画化の大コケ時代には二度と戻って欲しくない」というのが心からの願いだ。そのため本作に関する資料はシュレッダーにかけて「復元できない」とかならないように、大切に保存しておいて欲しい。
第9位 劇場版 ONE PIECE STAMPEDE
興行収入:55〜56億円
『鬼滅の刃』の猛追に遭いながらも年間コミックス売上ランキングトップを守った『ONE PIECE』(オリコンランキングでは『鬼滅の刃』が首位)の劇場版最新作が2019年度の第9位にランクイン。監督は『ONE PIECE』連載20周年を記念する作品として、作品から離れてしまった昔のファンにもお祭り気分で楽しんでもらえる映画を目指したという。その想いが伝わったのか本作の興行収入は前作『ONE PIECE FILM GOLD』の興行収入51.8億円を上回るヒットとなった。
第10位 ジョーカー
興行収入:50〜52億円
「無敵の人」「上級国民」などのワードが流行るなど日本にも少しヤバい空気が漂い始めた2019年度の第10位はDCコミックス映画『ジョーカー』がランクイン。本作は10月の閑散期に公開され、アメコミ映画としてもR15+したい作品としても異例の週末動員ランキング首位を4週連続獲得して興行収入50億円を突破を記録した。この記録はDC映画史上歴代No.1ヒットにもなっており、DCのヒーローやヴィランが大量に集合した映画より、ヴィラン1人の人生を描いた映画の方が日本でヒットしたという事実は興味深い。アメコミ映画を積極的に好むわけではない、年配の観客が多かったのも特徴だった。
今年はアメコミ映画が2本、日本の人気コミックの実写映画が1本ランクインした。実写とアニメの対比は6:4と実写が上回った。2020年度は既に『アナと雪の女王2』が無双しているが、果たしてどうなるか…