『花のち晴れ』最終回のネタバレ
『花より男子』の続編『花のち晴れ』の最終回を読んだ。
『花より男子』は神尾葉子による少女漫画で、累計発行部数6100万部を超えるヒット作品。嵐の松本潤によって実写化されたことも話題になった。
『花のち晴れ』は『花より男子』の2年後を舞台にした物語。本作の男主人公・神楽木晴は前作の男主人公・道明寺司にメチャクチャ憧れている男子高校生。しかしそのリスペクトの方向は「F4」を模倣した「コレクト5」を作ったり、「庶民狩り」をすることで学園内で幅を利かせていた。
そして神楽木は道明寺と同じように学園でワーストレベルの庶民でありながら、自分に強気で突っかかてくる江戸川音に恋をすることで、次第に人間としても成長をしていく。ただこの流れだと、前作を焼き直したに過ぎない。別に売り上げだけを求めるならそれでもいいのかもしれないが、このまま終わっていたら作品の価値はゼロに等しかっただろう。
神楽木は人生について悩む時、常に「道明寺さんなら、どうする?」と自身に問いてきた。しかし彼は自分の人生について道明寺ではなく、自分自身に問わなければならないと気づく。メタ視点で見た時、『花のち晴れ』の主人公である神楽木は『花より男子』の二番煎じに過ぎないキャラクターだった。しかし神楽木はメタ視点ではなく、作中世界でも道明寺の二番煎じの人物に過ぎなかった。ただ神楽木が作中で道明寺への憧れという呪縛を破り自分自身を手に入れた時、『花のち晴れ』も作品として『花より男子』の二番煎じ以上の価値を手にしたことになる。
そして彼は道明寺と「F4」に対して、表面上の憧れだけでなく本当の意味で憧れその背中に追いつこうと努力し始める。そうして彼が人間的に成長した時、彼は更に次の新たな世代から憧れを抱かれる存在になっていた。この作品は上の世代が強すぎることから二番煎じにしかなれないという絶望感を抱えた世代へのメッセージになるだろう。
『花のち晴れ』は道明寺に憧れていた少年が、次の世代に憧れを抱かれるまでの青年にまで成長をする物語だった。そしてそのバトンはきっと神楽木に憧れを抱いた彼に受け継がれていく…