『チェンソーマン』6巻までのネタバレ
『チェンソーマン』6巻を読んだ。本巻では前巻から展開されていた「レゼ編」が完結した。
※レゼがデンジに「逃げる」ことを提案する「前半パート」
※デンジがレゼに「逃げる」ことを提案する「後半パート」
「レゼ編」は「レゼが正体を明かすシーン」を中心に、「前半パート」と「後半パート」で「対」になる構成が取られている。例えば「前半パート」ではレゼからデンジをプールに誘い入れたが、「後半パート」ではデンジがレゼを海に落とす。他にも「前半パート」ではレゼがデンジに「一緒に逃げない?」と提案するが、「後半パート」ではデンジがレゼに「一緒に逃げねえ?」と提案するなどがあげられる。
※デンジが募金団体から花を貰う「前半パート」
※レゼが募金団体から花を貰う「後半パート」
ただし「レゼ編」は完全な「対」にはなっていない。「前半パート」で「悪魔被害を受けた子どもたちへの募金」をしたデンジは花をプレゼントされる。デンジはその花を食べてしまうが、その後レゼに出会うと胃袋の中から手品のように花を取り出して(ゲロ)、彼女にプレゼントをする。一方で「後半パート」で募金団体から花を受け取るのはレゼ。彼女はデンジの元へ向かおうとするが、その途中でマキマさんに殺されてしまう。そのためレゼからデンジに花がプレゼントされることはなかった。この「前半パート」と「後半パート」が「対」となる構成は、読者に描かれることのなかった「前半パート」の「対」となる「後半パート」の「レゼがデンジに花を渡すシーン」、そして「もしかしたらあったかもしれない未来」を想像させることで、「喪失感」や「切なさ」を味わって貰うための演出だったのではないかと感じる。
※「レゼは生きている」という伏線の可能性もある
※「心がある」と浮かれているデンジが花を食べる冒頭
※「心ここにあらず」といった感じでデンジが花を食べるラスト
一方でデンジはカフェで花束を持ちながら、来るはずもないレゼを1人で待つ。閉店の時間も近づき、デンジが諦めかけたとき、カフェのドアが開く。しかしそこにいたのはレゼではなくパワーだった。パワーはデンジがレゼに渡すはずだった花束を「差し出せ!」と迫る。自分は「レゼからデンジに花が渡すことがなくても、デンジがレゼに再び花をプレゼントすることで物語を締めるのではないか…」と淡い期待を抱いていた。しかしデンジはレゼが来ないことを悟り、物語の起点となった「花を食べる」行為によって「レゼ編」の幕を自ら閉じる。ここでは「心があると浮かれて花を食べる冒頭のデンジ」と「心ここにあらずと落ち込みながら花を食べるラストのデンジ」が「対」になっている。
「レゼ編」が始まる直前のエピソードで、デンジはマキマさんと観た映画について以下のような感想を述べる。
「あのラスト 絶対死ぬまで忘れないと思います」