2月末に安倍首相が発表した「春休みまでの全国一斉休校要請」により3月公開延期をした『映画ドラえもん のび太の新恐竜』がついに公開された。週末2日間での興行収入は4億1300万円、オープニング4日間での興行収入は7億6100万円を記録した。
本作は「ドラえもん生誕50周年記念」と「映画ドラえもん40作目記念」と記念年が重なったことからか、「テーマは原点となる『恐竜』」「シリーズ最高興行を記録した『のび太の宝島』の脚本を務めた東宝の売れっ子プロデューサー・川村元気が再登板」「ゲスト声優にキムタクキャスティング」とかなりの力の入った作品であった。一方で本作の祝日を含めたオープニング4日間の興行は最終興行50.2億円を記録した前作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』のオープニング3日間の興行収入興収7億5700万円とほぼ同等のスタートとなった。大ヒットスタートであることに変わりはないが、シリーズ最高興行も狙えるポテンシャルを秘めた本作の「祝日含めたオープニング4日間の興行収入」が前作より「1日少ない3日間のオープニング興行」とほぼ同等のスタートというのはやや物足りなさを感じる。前々週公開の『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が前作と同レベルのスタートを切り、更にその1週前公開の『今日から俺は!!劇場版』がコロナ禍とは思えぬ大ヒットスタートを切っていたことから、『映画ドラえもん』も平時と同様のスタートを切れると予想していたが、思いの外振るわない結果となった。やはり子供を持つ親目線としては、まだシネコンに行くには早いと判断したということなのだろうか… とはいっても興行収入25億円以上を見込めるヒットスタートであることは間違いなく、これからどのようなパフォーマンスを見せていくのか注目だ。
※最終興行は33.5億円
一方で上述した『今日から俺は!!劇場版』と『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は好調が続いている。前者は公開4週目にして興行収入33億円を突破、後者は公開3週目にして興行収入20億円を突破した。両作品は前週からの週末興行の落ち幅も少なく、観客満足度も前者が98.1%、後者が96.3%と非常に高いのも特徴だ。勿論両作品ともテレビドラマの劇場版が故に作品に好意的なファンを中心に動員しているという背景もあるのだろうが、それでも期待されていたモノを期待通りに提供できているという事実は大きい。
コメディ要素満載の2作品が大ヒットを記録する一方で、同じくコメディ色の強い人気漫画の実写映画版『ぐらんぶる』はオープニング興行3日間で1億1059万8710円と振るわず… 流石に夏休みに実写邦画のコメディ映画3本は多すぎたのかもしれない。
新型コロナウイルス感染拡大は広まる一方だが、日本映画興行はそれなりに回り始めた。お隣韓国もこの夏、自国製作映画である『半島』と『ただ、悪からお救いください』が動員200万人超えのヒットを記録しているようなので、何だかんだで自国のコンテンツがある国は強いのだろう。
最後に『今日から俺は!!劇場版』『コンフィデンスマンJP プリンセス編』『ぐらんぶる 』の3本の作風が苦手または嫌いな人は公開前の予告編3連打は地獄だったのではないか、などとふと思った。
参考ツイート
8/10までの累計数字(新型コロナウイルス影響下の参考値)です。
— 元編集長の映画便り (@moviewalker_bce) 2020年8月11日
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は4日間で動員63万678人&興収7億6111万600円
『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は19日間で動員153万8961人&興収20億9703万800円
『今日から俺は!!劇場版』は25日間で動員262万9808人&興収33億4011万8050円
— 元編集長の映画便り (@moviewalker_bce) 2020年8月11日
『透明人間』は32日間で動員14万2647人&興収1億9223万8420円
『ソニック・ザ・ムービー』は46日間で動員12万3087人&興収1億6454万1300円
『ドクター・ドリトル』は53日間で動員40万5656人&興収5億6018万9360円