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夏休み映画興行収入レポート2020/『今日から俺は!!劇場版』『コンフィデンスマンJP プリンセス編』がヒットも…

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新型コロナウイルス感染拡大の影響による「全国一斉休校要請」「不要普及の外出自粛要請」「緊急事態宣言」などにより、2020年の映画興行界は3月以降絶望的な数値が並んだ。特に「緊急事態宣言」発令中の4月は前年比96.3%減で総額6.88億円、5月は前年比98.9%減で総額1.96億円と過去最低数値を記録した。一方で「緊急事態宣言」が解除された6月は『ドクター・ドリトル』『ランボー ラスト・ブラッド』、そして再上映が行われた宮崎駿監督作品『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』がオープニング3日間で1億円突破を記録。ただし、3月以降公開作品で最終興行10億円を超える作品はなく、夏休み興行もコロナ禍によるダメージは大きいのではないかと不安視されていた。

 

 

  • 実写邦画、平時レベルのヒット

今日から俺は!!劇場版

コンフィデンスマンJP プリンセス編

そんな不安視されていた夏休み興行だが、7月17日に公開された福田雄一監督最新作『今日から俺は!!劇場版』は、オープニング3日間で7億8800万円を記録する大ヒットスタートを切った。最終興行は52億円を超えて、これまで福田雄一監督史上最高興行だった『銀魂』の38.4億円を大きく上回るヒットとなった。またその翌週公開された長澤まさみ主演の月9ドラマの劇場版『コンフィデンスマンJP プリンセス編』も祝日含めたオープニング4日間で9億1200万円を記録する大ヒットスタートとなった。本作は公開前に新型コロナ感染拡大だけでなく、メインキャラの一人を演じる東出昌大の不倫問題が興行的ダメージに繋がるのではないか、という不安の声もあったが興行収入は36億円を超えて、前作『ロマンス編』の29.7億円を大きく上回る大ヒットとなり、続編製作も発表された。

映画「糸」オリジナル・サウンドトラック

【映画パンフレット】事故物件 恐い間取り 監督 中田秀夫 キャスト 亀梨和也 奈緒 瀬戸康史, 江口のりこ, MEGUMI, 真魚,

また全国300館以上で公開された実写邦画作品は他にも中島みゆきの名曲から着想を得た『糸』と亀梨和也主演のホラー映画『事故物件 恐い間取り』が興行収入20億円を見込めるヒットを記録するなど、コロナ禍とは思えぬ平時レベルのヒットを記録する作品が複数確認された。

 

 

  • ファミリー映画は苦戦

映画ドラえもん のび太の新恐竜 (てんとう虫コミックスアニメ版)

2分の1の魔法 (オリジナル・サウンドトラック)

一方で3年連続興行収入50億円超えを記録していた人気シリーズの最新作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は興行収入30億円前半に留まる見込み、またディズニー・ピクサー最新作『2分の1の魔法』が興行収入10億円に届かない見込みと、実写作品よりアニメ映画のが興行的に強い日本とは思えぬ結果となった。

【チラシ付き、映画パンフレット】劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song ドラマCD付き豪華版

ただし『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』の興行収入が17億円を超えてシリーズ最高興行を記録していることから、アニメ映画がダメージを受けたというよりは、コロナ禍でファミリー映画がダメージを受けたと考えるのが妥当なのだろう。もしかしたら、まだ子供を連れて映画館に行くという気分になれない親も少なくなかったのかもしれない。

 

 

  • 最後に…

メイキング・オブ・TENET テネット クリストファー・ノーランの制作現場

日本では9月18日公開のクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』がオープニング5日間で7億5000万円を超えるヒットを記録しており、実写洋画も話題作品なら平時レベルのヒットが期待できることが分かった。ただし、ヒット作品連発に見えた夏興行も全体では昨年の30〜40%に留まっているという。また現在は感染拡大防止策として座席に間隔を開けることで、1回の上映で平時の半分の興行しか見込めない。そのためシネコン側は、座席半分のマイナスを補うためにヒットが見込める作品を複数のスクリーンで大量に上映する一方で、ヒットの見込めない作品は平時より早い段階で上映回数が減らされたり、上映自体が短期で打ち切りになるなど、日本映画の格差がますます広がったという話も聞く。そのため手放しで喜べる状況ではないが、それでもまずは話題作品が平時レベルで入ったことをプラスに捉えたいと感じた。