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自殺した理由なんて分からない、現在進行形で死にたい人だって同じなんじゃないかな、という話/『カネ恋』ネタバレ感想

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『カネ恋』の最終回を観た。当初全8話を予定していた本作を全4話に急遽再構築したという。最終回で三浦くんの新規撮影カットは冒頭のワンシーンのみ。その次のシーンでは、彼は会社を無断欠勤したという会話がある。でも無断欠勤の割に同僚の声は「騒がしい奴だけど、いないといないで寂しい」などと、何処かシンミリとした感じ。

 

「アレ、もしかして…」

 

自分は本作を観ているとき、とにかくこの境目が来るのが怖かった。話数が進むごとにあの日が近づいてくるというの感覚を味合わされるのが堪らなく嫌だった。あの日以前とあの日以降の境目となるシーンが来るのという事実が受け入れ難かった。

 

それでも事実としてその境目は来てしまった。否、そのシーンが本当にあの日以降の撮影だったのかはわからない。でも自分の中で違和感を感じた最初のシーンだった。そして次のシーンでは、松岡さんが三浦くんの役といつも一緒にいた猿のロボットを三浦くんの役に見立てて喋り出したり、そのロボットと一緒に子供の頃から会ってないお父さんに探しに行くという通常なら頭がおかしくなったとしか思えないような展開を見て、「あー、もういないんだな…」と確信に変わる。

 

結局、そのまま三浦くんが登場しないまま終盤を迎える。ラストは松岡さんが三浦さんの役を好きだと認識して「会いたい」と願いながら、そのまま寝落ちしてしまう。翌朝、目が覚めると玄関が開く音がして、松岡さんは笑顔を見せるアップで終わる。

 

もう現実世界では帰ってこない人が演じる役が、いつも通り帰ってきたという設定で、笑顔を見せるという演技を彼女がどんな気持ちで演じたのかはわからない。ただこちらのバイアスがかかりすぎていることもあってか、その笑顔はどこか寂しそうに、むしろ泣きそうに見えた。

 

 

最近は芸能人の訃報が続いている。日本での自殺者も昨年から上昇傾向にあるそうだ。人が自殺した時、人はその理由を知りたがるが、そんなことは結局誰にもわからない。もしかしたら本人すら分かってなかった可能性すらある。

 

というよりも、今現在進行形で死にたいと思ってる人だって、なんで死にたいと思ってるか明確に説明できる人は少ないんじゃないかと思う。

 

漠然とした死にたいという負の感情は、三浦くんや竹内結子さんレベルの第三者から見たら明らかな成功者ですら、その道を選んだことで、「あの人ですらそうだったのなら、自分みたいな人間がそう思ったとしても…」と、その選択へのハードルを下げる。

 

不謹慎だが、物凄いショックと共に、同じ人間なんだという安心感すら感じる。きっとこれを読んだ人は不快な気持ちになってるのではないかと思う。でも不思議だ。なんだが、少し、あれほど遠く別世界に生きていると思ってた芸能人と、絶対選んではいけないとされるその選択が、身近なものと感じてしまう。

 

ここ最近は色々重なり、常に精神衛生面が良くない。精神面が蝕まれたとき、平時ではあまり気にしていないことが物凄く気になりだし、忘れていた過去の自らの過ちを思い出し、人間としての生きる力が消えていってしまう。