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2014年に公開され興行収入83.8億円の大ヒットを記録した山崎貴監督作品『STAND BY ME ドラえもん』の続編『STAND BY ME ドラえもん2』。本作は原作でも「泣けるエピソード」として名高い「おばあちゃんのおもいで」「ぼくの生まれた日」「45年後…」の3本をベースにした3DCGアニメ映画である。
本作は7つのエピソードを基本的に並べただけの前作とは異なり、山崎貴監督オリジナルの「大人のび太がしずかとの結婚式当日にしずかを幸せにする自信を無くして逃げ出した」というエピソードを中心に物語が展開することから、前作のような「1話完結のエピソードを連続で観せられている感」はない。むしろ原作の「おばあちゃんのおもいで」ではオチの前ぶりだった、ランドセルを背負った小学生のび太を見たおばあちゃんの「あんたのおよめさんを、ひと目みたいねえ。」というセリフから「大人のび太としずかの結婚式」へ話を広げたのは面白い発想だと思ったし、「ぼくの生まれた日」を結婚式のスピーチ前に配置することで、その後のスピーチ内容に生かされるという構成はとても自然な流れで見事だと感じた。個人的には「ドラえもんのひみつ道具を使って勝手に盗み聞きしただけのエピソードも当たり前のようにスピーチで話しているにも関わらず、会場にいる人が誰もそのことに違和感を覚えない」部分に引っ掛かりを感じたが、自分の観た劇場ではこのシーンで彼方此方から啜り泣く声が漏れ聞こえてきたし、自分も結構感動した。
その一方で大人のび太が子供のび太と入れ替わることで子供時代を楽しむという「45年後…」をベースとしたエピソードは、大人のび太が「子供時代の僕がもっとちゃんとやってればよかったんだ!」と小学生のび太を責めたことで、ドラえもんが「入れかえロープ」を出して大人のび太と小学生のび太が入れ替わるという展開になっているが、大人のび太の主張に対する回答としてはチグハグ感が否めず、かなり強引な展開に感じた。また「入れかえロープ」が不良品で時間内に2人が元に戻らなければ両者の記憶が消えてしまうという展開の着地点も精神論で解決といった感じで、もう少しSFとして納得できる展開にして欲しかった。
そんなこんなで「なんだかな…」と思わせる展開も多いが、良くも悪くも「山崎貴監督節全開」の作品で、個人的には前作よりかなり楽しめた。「忘れん棒」によってのび太が本作で起きたことの大半を忘れるオチも、前作で「帰ってきた、ドラえもん」まで描き「ドラえもんとのび太の楽しい日常は続く」と提示した結末、つまりは「のび太の成長を先送りした結末」との一貫性も感じ、山崎貴監督のブレない『ドラえもん』像が滲み出ていたのではないかと思う。
最後にドラえもんがスモールライトで小さくなり、結婚式場に侵入するシーンなど3DCGアニメ映画としても楽しいシーンもあっただけに、前作のような3D上映がなかったのは残念だった。
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