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すぎやまこういち先生「『ドラクエV』は『光の教団』が武器を捨てさせて村を占領する」は記憶の混同か

『ドラゴンクエスト』シリーズなどの作曲家で知られるすぎやまこういち先生が90歳でこの世を去った。最後の仕事は現在制作中の『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』が最後の作品となる。

 

  • 国民的音楽、東京オリンピック開会式でも使用

すぎやまこういち先生は『ドラクエ』の音楽を「ゲーム音楽は同じ曲を繰り返し、長時間聴くことになる。地味でもいいから、何回聴いても飽きない曲でないといけない」と発言していたという。実際、『ドラクエ』の音楽はゲーム内で飽きるどころかサントラを購入してゲーム外でも聴きたいレベルの名曲揃いとなっている。また『ドラクエ』内でキャラクターのレベル上げをすることと重ねて、受験や資格試験等の勉強のモチベーションアップのために利用していたという話もよく聞く。『ドラクエ』の音楽はゲーム自体をプレイしたことない層にまで親しみを持たれており、その影響力はゲーム外にまで大きく及んでいた。

そして、その最たるケースとなったのが、今年開催された東京オリンピック開会式における選手入場曲のオープニングを飾った「序曲:ロトのテーマ」だった。東京オリンピックのゲーム音楽使用に関しては大きく賛否が割れたが、ポジティブにせよネガティブにせよ大会期間中に最も強く多くの国民の感情を揺さぶったのは間違いない。やはりこれは『ドラクエ』という多くの人が慣れ親しんだ国民的音楽だったからこそのことなのであろう。

 

 

  • 「右派の論客」として『ドラクエV』で持論

『ドラクエ』シリーズ以外にも日本国民にとっては馴染みのある音楽を数々手掛けてきたすぎやまこういち先生だが、彼には「作曲家」の他に「右派の論客」という顔があった。特に杉田水脈議員のLGBTに対する「生産性がない」発言に「正論ですよ」と擁護したことは話題となっていたこともあり、東京オリンピックの開会式で音楽を使われた際には一部から世界的な問題に発展するのではないかと懸念された。

そんな「右派の論客」の顔もあるすぎやまこういち先生は『ドラクエ』に対しても、「憲法9条」と絡めながら以下のような発言をしている。

「僕がドラクエのストーリーで印象に残っているのは、『ドラクエV』に登場する『光の教団』。怪しい宗教団体が出てきて、司祭が『世の中に武器などというものがあるから戦争が起こるのです。皆さん、武器を捨てましょう』と布教するんです。

 村人たちがその言葉を信じて武器を捨てると、途端に魔物の群れが村を襲って占領されてしまう。現状の日本を思ってしまうシーンですよ。『憲法九条を信じて武器を捨てても、相手が武器を持っていたら乗っ取られるぞ』と。

(中略)ドラクエをやっていれば分かるように、平和は戦って勝ち取るものであり、戦う姿勢によって守られるものなんですよ」

(3ページ目)杉田水脈に「正論ですよ」 ドラクエ作曲家「愛国発言」を振り返る | 文春オンライン

この発言を読むと「えっ、『ドラクエ』ってこういうゲームだったの!?」と驚く人も多いと思う。実際自分驚いた。ただその一方で「『ドラクエ5』にこんなエピソードあったけ?」という疑問も湧いた。現に自分の記憶だけでなく『ドラクエ5』をプレイしたことのある知人数人もこのエピソードは記憶になく、ネット上で検索をかけても多くの人が同様の見解を持っていることが確認できた。そのため、もしかしたら多くの人が見逃してしまうレベルのモブキャラがこのエピソードを話していた可能性や実はゲーム内で語られていないだけの「裏設定」だったという可能性等は残るものの、『ドラクエ5』にすぎやまこういち先生が発言したエピソードは「存在しない」という見解が有力となっている。

 

 

以下『ドラクエ7』のネタバレ注意

 

  • 『ドラクエ5』と『ドラクエ7』の記憶の混同か

では、すぎやまこういち先生が『ドラクエ』シリーズに全く存在しないエピソードをさもあるように「憲法9条」と絡めながら語ったのかというとそうでもないようだ。実は『ドラクエ7』にはニセモノの神様が各国の代表者を集めて「武器を捨てよ 全ての武器を捨て 争いを止めよ」と訴え、各国の代表者がその言葉を重く受け止めそれぞれの国に帰った後に、大陸が封印されてしまうというエピソードがある。そのためファンの間ではすぎやまこういち先生が『ドラクエ5』と『ドラクエ7』のエピソードを混同して発言していた可能性が高い、と結論付けられるケースが多い。

 

 

  • 最後に…

人の記憶とはあやふやなものである。

 

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