【荒木飛呂彦】『ゴージャス☆アイリン』で諦めた「女主人公」で連載、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』

ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン 1 (ジャンプコミックス)

2021年12月1日(水)日本時間17時頃、Netflixでアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』が配信開始される。

 

  • 荒木飛呂彦作品と「女主人公」

ゴージャス★アイリン (集英社文庫(コミック版))

本作は『週刊少年ジャンプ』1987年1号より連載が始まった荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』の第6部で、シリーズ初の女ジョジョである。本部の連載開始は2000年1号である一方で荒木飛呂彦先生は『ジョジョ』連載前にも女主人公での連載を考えていたことがある。それが1985年と1986年にジャンプの派生誌に掲載された「化粧をする」事で自分に暗示をかけ、肉体を変化させ別人の姿に変身するという技術を持つ殺し屋一族の血を引く16歳の少女が主人公の『ゴージャス☆アイリン』だった。本作は作者のデビュー作『武装ポーカー』や初連載作品『魔少年ビーティー』の連載前のパイロット版も収録された短編集『荒木飛呂彦短編集 ゴージャス☆アイリン』に収録されているが、荒木飛呂彦先生は連載断念の経緯を以下のように記している。

連載しようか?という企画もあったけど、当時、闘う女性を主人公に長編の少年マンガを描くのはちょっと抵抗があって

<出典:『荒木飛呂彦短編集 ゴージャス☆アイリン』/荒木飛呂彦/集英社>

 

 

2回読み切りが掲載されて「連載しようか?」という話があったということは、それなりの人気は獲れてはずだが、「女主人公」だからという理由で連載には至らなかった『ゴージャス☆アイリン』。その後連載が始まった『ジョジョ』ではディオに強引にキスをされた際に、泥水で口を洗って拒絶の意思を示すエリナや波紋使いのリサリサなど、精神的・肉体的強さを持つ女キャラは登場したが、「女主人公」は『ゴージャス☆アイリン』の連載断念後から12年後に始まった6代目までいなかった。荒木飛呂彦先生は「女ジョジョ」誕生の理由を以下のように記している。

JOJOの主人公なのだから顔面にパンチをくらってもヘコたれないタフさが必要だ。時にはドブの中をはいずり回る可能性もあるし、大股開きでビルの上から落っこちるかもしれない。女性にはちょっとキツイ設定だ。

でもそのギャップが逆に考えてみるとおもしろいかもと思った。

<出典:『ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン』1巻/荒木飛呂彦/集英社>

この後に続く文章は現在のジェンダー感覚と照らし合わせるとやや危うさを感じなくもないので引用しないが、荒木飛呂彦先生は『ストーンオーシャン』では『ゴージャス☆アイリン』の時にあった「女主人公」への抵抗感を逆手に取ることで「女ジョジョ」を実現させた。連載前に編集部は「女主人公」に反対していたというエピソードや連載当時から現在に至るまでのジャンプ連載のバトル漫画での「女主人公」の少なさを考えればかなり革新的な判断だったことが伺える。また徐倫が無実の罪で「州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所」に収監されてしまう経緯の設定もジェンダー意識が高まりフェミニズム映画が数多く作られる中でも見劣りしないもので、21年前にこの設定で連載を始めていたという時代の先駆け感に驚かされる。

 

 

  • 「トーナメント戦」ではなく「スタンド戦」

ジョジョの奇妙な冒険 第3部 モノクロ版 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

そもそも「革新的」という意味では荒木飛呂彦先生の作品は初連載作品の『魔少年ビーティー』からジャンプの中では異色作品。また読者アンケートの人気が低迷した頃に編集者から同時期連載の人気漫画のようにトーナメント戦を提案されたこともあったというが、荒木飛呂彦先生はトーナメント戦ではなくスタンド戦を発明。その結果、『ジョジョ』は他の漫画のようにインフレーションに陥らず、現在の能力バトル漫画に大きな影響を与えた、とされている。サスペンス映画の効果音を漫画で表現したいと取り入れた独特の擬音といい、革新的なアイデアを次々と取り入れ、日本の漫画業界に大きな影響を与えている荒木飛呂彦作品。そういう意味ではジャンプのバトル漫画で「女主人公」を描き成功させたというのも必然だったのかもしれない。

 

 

  • 最後に…

『ジョジョ』で「女主人公」が出来たのは世代交代を前提とした長期連載の人気マンガ(ジャンプでのアンケート結果はイマイチだったという話もあるが…)面もあったと思う。それは「MCU」が次々と革新的要素を映画に取り入れていけてる理由にも繋がっているように感じた。

 

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