『タコピーの原罪』が毎週更新されるたびにネットは考察で溢れかえる。
- 大炎上した『100ワニ』
この状況で『100ワニ』を連想する人も少なくない。『100ワニ』はきくちゆうき氏が100日後に死ぬワニの死ぬまでの100日間の話を4コマ漫画形式でTwitterに1日1話100日間投稿して話題になった作品。しかし小学館からコミックスが発売されることが決まると一部から批判意見が上がり、最終日投稿直後にグッズ化や映画化といった怒涛の商業展開をした結果、「電通案件」といった疑惑も浮上する年間トップクラスの大炎上に… たった一夜にして100日間コツコツ積み上げてきた「感動の漫画」というイメージは「半笑い」のものに変わった。
- 最初から商業作品か否か
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— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) 2022年3月4日
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一方で『タコピーの原罪』は「コミックス購入確定」といった書き込みを定期的に見るくらいにはポジティブな受け取られ方。そんな『タコピーの原罪』と『100ワニ』の最大の違いはスタートが「商業作品」だったか否か。『タコピーの原罪』は『ジャンプ+』という国内最大級のWEB漫画媒体で連載されている漫画で読者は最初から本作が「商業作品」であることを認識して触れている。しかし『100ワニ』は疑惑等は置いといて、少なくとも読者視点では作者が始めた趣味の作品で「商業作品」ではなかった。それ故に最終日突如、それも「金儲け」の気配を隠す気配もない形で「商業作品」に変わったことは物凄くネガティブに受け取られたように思う。
また『タコピーの原罪』が仮にラストで怒涛の「商業展開」をして読者に引かれたとしても「集英社がバックにいるからね」と状況を飲み込めるが、特に巨大組織がバックにいる気配のなかった『100ワニ』だと「こんなことが可能なのだろうか…」と疑問を生み、「もしかして最初から電通みたいな巨大組織が裏で糸を操っていたのでは…」という疑惑を生じさせてしまった。
- 作品と宣伝と読者
https://t.co/zq7K0FbjoX pic.twitter.com/JeuKFdSiRi
— 100日後に死ぬワニ 公式 (@100waniOfficial) 2020年3月20日
また『タコピーの原罪』は考察系漫画であると同時に作者が意図的なのか『バクマン。』でいうところの「シリアスな笑い」、つまりは「真面目なシーンではあるし、多くの人は真剣に受け取るけど、読む人によっては過剰演出に笑ってしまうバランス」の作品になっており、読者もそれを意識的にせよ無意識的にせよそう受け取り、ネットでは「ガチ考察」と共に「ネタ」としても消費されている。一方で『100ワニ』は一貫して「日常の尊さ」について作者が「ガチ」に描いており、読者も「ガチ」に受け取り、ネットも「ガチ考察」で溢れる「ガチガチ」な作品だった。そのため、作品のトーンと明らかに異なるワニが天使の輪と羽をつけた「追悼ショップ」を受け入れるだけの「余裕」が読者になかった。勿論、これは読者ではなく作品に合っていない宣伝をしてしまった側の責任ではあるが…
そういう意味では『タコピーの原罪』は仮に最終回がしんみりさせるラストで、尚且つその次のページに「グッズのお知らせ」とグッズ購入を催促するタコピーやしずかちゃんのコメントがあっても、そこまで反発を買わないのではないか、寧ろネタとして喜ばれるくらいなのではないかと思う。
- 最後に…
最後に元も子もないことを書くと、『100ワニ』の作者には申し訳ないが、グッズとか欲しいと思うほど読者がキャラクターに魅力を感じていなかったのでは…、という感じはする。
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