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『ザ・バットマン』公開記念、歴代映画「興行収入」振り返り/クリストファー・ノーラン監督作品『ダークナイト・トリロジー』編

ザ・バットマン (輸入盤 数量限定通常CDプレス盤)

『ザ・バットマン』が公開されるので、歴代『バットマン』シリーズを興行収入を軸に個人的な雑感を交えながら振り返る。今回はクリストファー・ノーラン監督作品『ダークナイト・トリロジー』編。

 

  • バットマン ビギンズ

バットマン ビギンズ (字幕版)

『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』が大コケしてシリーズを凍結した『バットマン』シリーズが、特にアメコミに思い入れのないクリストファー・ノーラン監督によってリブートされた作品。映像のルック的にかなり期間が空いたように思えるが意外と空白期間は8年と短く、1997年から2005年の8年と2014年から2022年の8年では映像的には同じ期間でも全く違う期間のように感じる。ノーラン監督の『バットマン』シリーズは明るくなり過ぎて失敗した『バットマン』シリーズを再び暗く、そしてリアル化方向に舵を切った作風。ただ『ビギンズ』は後のシカゴを隠す気のないゴッサム・シティに比べてウェイン・タワーに繋がるモノレールが走っていたり、バットマンがその電車につかまって振り回されながら移動するなど、意外とファンタジックな街並み。全米興行は製作費1.50億ドルに対して2.05億ドルの大ヒット。世界興行も3.72億ドルと悪くなく、本作の成功が後のアメコミ映画のリブートの基を作ったとも指摘されている。ただ『ダークナイト』が強すぎて影が薄い。

電車男 スタンダード・エディション [DVD]

日本での興行収入は14.0億円と世界的には大コケ扱いの前作と同数値。当時の日本ではインターネットの電子掲示板である2ちゃんねるへの書き込みを基にしたラブストーリーを実写映画化した『電車男』が興行収入37.0億円の大ヒットしていた。

 

Batman Begins - Box Office Mojo

国内映画ランキング(2005年6月18日~2005年6月19日) - 映画.com

 

 

  • ダークナイト

ダークナイト (字幕版)

ノーラン監督版の2作目は『ダークナイト』。前作よりリアル化が進み、約30分間をIMAXで撮影した作品。作品単体でも傑作扱いなのに、ジョーカー役のヒース・レジャーが公開前に亡くなったことで伝説扱いに。中には「ジョーカー役をやって精神的に追い詰められて死んだんだ」「アレは命を削った演技なんだよ」とか言ってる人もいるレベル。そのためもう『ダークナイト』以上のジョーカーは出てこないと思われていたが、11年後にホアキン・フェニックス演じる『ジョーカー』が同等かそれ以上の評価を受けたのだから世の中とは分からないもの。本作の全米興行は製作費1.85億ドルに対して5.33億ドルと公開当時は『タイタニック』に次ぐ全米歴代2位のヒット。世界興行も10.03億ドルと前作を大幅に上回るヒットで当時の歴代4位。本作のヒットを受けて、本作に影響を受けた作品が乱発されたことから「ダークナイト症候群」という造語も生み出された。またこの症候群に一番苦しむのは後のバットマン率いる「DCEU」というのが皮肉なところ。

アイアンマン (吹替版)

本作公開の2008年はMCU1作目の『アイアンマン』も公開されており、製作費1.40億ドルに対して全米興行3.18億ドル、世界興行5.85億ドルの大ヒットを記録していた。MARVELとDCのコミックス映画の未来に大きな影響を与えた作品が同年公開とは運命的。

崖の上のポニョ [DVD]

20世紀少年 -第1章- 終わりの始まり

日本での興行収入は16.0億円と世界的なヒットに比べるとかなり物足りない結果。何より前作から2億円しか伸びていない。当時の日本では宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』が興行収入155.0億円のメガヒット。またコミックス原作映画としては浦沢直樹先生の人気漫画を『ダークナイト』同様にリアル化路線で実写映画化した『20世紀少年 第1章 終わりの始まり』が興行収入39.5億円の大ヒットとなっていた。ちなみに日本では東村アキコ先生の『東京タラレバ娘』で「男は大好きだけど女が観ても全然面白くない映画ナンバー1」扱いされたことでも知られている。ただキャラクターと作者の主張は必ずしも同じとは限らず、東村アキコ先生の見解は「『ダークナイト』の良さを飲み会で語る男は公害」とのこと。

The Dark Knight - Box Office Mojo

Iron Man - Box Office Mojo

国内映画ランキング(2008年8月9日~2008年8月10日) - 映画.com

「『ダークナイト』の良さを飲み会で語る男は公害」東村アキコと山田玲司らがアメコミ映画を語る - ログミーBiz

 

 

  • ダークナイト ライジング

ダークナイト ライジング (吹替版)

『ダークナイト・トリロジー』の完結編。アメリカでは公開初日にコロラド州オーロラで行われたプレミア上映会で『ダークナイト』のジョーカーの影響を受けたという銃撃事件が発生したことも話題になった作品。公開当時は『アバター』以降の3D映画ブームだったが、ノーラン監督の拘りで2D映画として製作。一方でIMAXでの撮影シーンは増えた。全米興行は製作費2.50億ドルに対して4.48億ドルと前作を下回るも、世界興行は10.81億ドルと前作超え。日本でも19.7億円と20億円に肉薄した。

アメイジング・スパイダーマン (吹替版)

アベンジャーズ (吹替版)

本作が公開された2012年夏は他にも『スパイダーマン』シリーズのリブート1作目『アメイジング・スパイダーマン』が微妙な結果になったり、MCU初のヒーロー集結作品『アベンジャーズ』が記録的なメガヒットになったりとアメコミ映画としてかなり重要なシーズンだった。ユニバース化によるスタジオ主導の短期スパンでの公開が当たり前となった2017年においてノーラン監督は『ダークナイト・トリロジー』を製作を「贅沢な時間だった」「(この製作形式ができる)最後の時代」と述べている。

るろうに剣心

踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

日本では同時期に『BRAVE HEARTS 海猿』が大ヒットしていたが、本作との関連では大友啓史監督が『ダークナイト』と同じ解釈で実写映画化したと明言している『るろうに剣心』の1作目が興行収入30.1億円の大ヒットを記録し、後の日本映画に大きな影響を与えた。また同年は『踊る大捜査線』シリーズが完結した年で本作もまた『ダークナイト』の影響を受けている。ただし『踊る』は2作目で『ダークナイト』の監視カメラ、『ライジング』の都市封鎖を先取りしてやっている作品でもある。そのためノーラン監督が逆に参考にしてた可能性も… 流石にないか。

 

The Dark Knight Rises - Box Office Mojo

クリストファー・ノーラン、『ダークナイト』3部作は「贅沢な時間だった」 | THE RIVER

 

 

  • 最後に…

次回は「DCEU」に突入した『バットマン』シリーズ。

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