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『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ファンタスティック・ビースト』降板のジョニー・デップがアンバー・ハードに勝訴した理由

Amber Heard Testimony Mr Ripley: She Is Overheard Saying, "I'm Being Labelled A Liar And A Gold Digger. I'm Not Lying About Any Of This Nonsense, And I'm ... Vs Johnny Depp Book 2) (English Edition)

「私はDVの被害者」、ジョニー・デップはアンバー・ハードが寄稿した記事を掲載した『The Sun』を「名誉毀損」で訴えたが、敗訴。この結果からジョニー・デップは『ファンタスティック・ビースト』のグリンデルバルド役を降板、「DV男」のレッテルが貼られた。一方でアンバー・ハードを「名誉毀損」で訴えたアメリカでの裁判は勝訴。その理由は…

 

  • 「名誉毀損」裁判、争点は?

まず本件の概要を確認する。本件はアンバー・ハードが寄稿した記事「私はDVの被害者」をジョニー・デップ側が「記事が元夫である自分を示唆しているが、アンバー・ハードの主張は嘘である」と「名誉毀損」で訴えた裁判。アンバー・ハード側は「記事はジョニー・デップについて書いたものではない」としながらも「ジョニー・デップによるDVはあった」と反論。裁判はジョニー・デップによるアンバー・ハードへの暴力の有無が争点となり、どちらの証言が信用に値するかが問われるものとなった。

 

 

  • アンバー「アザはコスメで隠した」、しかし…

アンバー・ハード側はジョニー・デップによる暴力があった証拠として「自身の顔にアザがある写真」を公開。一方でジョニー・デップ側は自身の暴力がなかった証拠の一つとして「その写真が撮影した頃にアンバー・ハードのノーメイク姿を見たがアザはなかった」とする目撃証言を提出した。これに対してアンバー・ハード側はコスメ商品を見せながら「これでアザを隠していた」と反論。しかしそのコスメ商品は当時発売されておらず、アンバー・ハードが「嘘をついているのではないか」という疑惑が浮上した。

反対尋問でアンバー・ハード側はこの点に関して「正確にこれと同じ商品ではない」と釈明。ただ本当に当時使ってた商品の代わりとして似たような違う商品を見せていたのだとしたら、予めそう説明して貰わないと今回のように余計な疑念を生むし、仮に嘘をついていたのだとしたら調べれば直ぐに分かる発売時期を確認せずに証言をしていたことになり、あまりにもお粗末。証言が本当にせよ、嘘にせよ、アンバー・ハード側に対して「大丈夫か」と不安を感じさせる証言だった。

 

  • 離婚金700万ドル、アンバーは寄附する約束も…

またアンバー・ハードはジョニー・デップと離婚した際に離婚金を全てチャリティに寄付すると世間に説明していた。これは交際当時から囁かれていた「アンバー・ハードは売名や金目的でジョニー・デップに近づいているのでは?」という疑念を晴らす行為だった。しかしアンバー・ハードは本裁判中に至っても離婚金700万ドル中130万ドルしか寄付していないことが発覚。更にその内10万ドルはジョニー・デップが直接寄附したもので、50万ドルはジョニー・デップと破局後に交際したイーロン・マスクにより支払われていたことも判明した。

これに対してアンバー・ハードは「私は寄付すると約束した。私にとってそれらは同じ意味」と釈明し、ジョニー・デップ側の弁護士に「『約束をした』と『寄付をした』は全然違う」とツッコまれた。本裁判の内容はアメリカでテレビ中継されており、アンバー・ハードの無理くりな答弁が全米中でネタにされたことは想像に容易い。

 

 

  • 法廷で流されたアンバーが否定する不倫疑惑映像

更にアンバー・ハード側は「ジョニー・デップは何の根拠もなくアンバー・ハードの浮気を疑う嫉妬深い男」と主張。しかしジョニー・デップ側はアンバー・ハードが不倫疑惑のあったジェームズ・フランコとペントハウスのエレベーター内で親密そうに身を寄せ合うビデオ映像を再生。このペントハウスの所有者はジョニー・デップで彼はこの日バンドツアーの真っ最中だったという。何はともあれアンバー・ハードによる「ジョニー・デップは根拠なく浮気を疑う」という主張への反論かつ彼女が自身に都合の悪いことは隠して相手を貶めようとする性格を裏付けるには十分な証拠映像だった。

 

  • アンバー敗訴、ジョニデと和解するも…

最終的に裁判はジョニー・デップの勝利で決着。アメリカのメディアでは今回の裁判結果について「最終的には細かい証拠よりも、アンバーの証言に一貫性がなく、彼女がいくつかの嘘をついていることが証明されたことが大きかった」と分析しているという。ジョニー・デップのアンバー・ハードへの暴力疑惑は仮に事実でも2人きりの時に行われているため、第三者の証言は望めず証拠映像でもない限り絶対的な事実は分からない。しかし裁判でのアンバー・ハードの証言のいい加減さを認識した上で彼女の「ジョニー・デップから暴力を受けていた」という主張を信じられるかと問われれば「難しい」というのが本音。今回の裁判でアンバー・ハードは自身の証言の信用性を下げることで、自身の主張が認められない形となった。仮に彼女が暴力については真実を話していたのであれば、余計なところで誤魔化したり、嘘をついたりしてはいけない、というのが本件から学べる教訓なのかもしれない。

アンバー・ハードは敗訴が納得いかず、控訴する方針を示していたが「これ以上ネットでネタにされるのは耐えられない」とジョニー・デップ側と和解。

一方で「ジョニー・デップから暴力を受けた」という主張は曲げない、としている。

 

 

  • 最後に…

news.yahoo.co.jp

この記事内では本裁判中で個人的に重要だと判断した3点のみを紹介したが、実際は他にも様々な証言の応酬があったので、もっと深掘りしたい人は上記の猿渡由紀さんの記事を読むことをオススメする。アメリカとイギリスで判断が割れたことについても詳細な解説がなされている。最後にアンバー・ハードは「ネットでネタにされることが耐えられない」としてジョニー・デップと和解したが、彼女個人の問題は置いといて一般論としてこの手のセンシティブな話題がネットでネタとして消費されすぎるのも如何なものか、という感じはする。現にジョニー・デップはあらぬ罪により「DV男」のレッテルを貼られて『ファンタビ』を降板させられ、ここ数年のキャリアをズタボロにされた可能性が高いが、それとネット世論の高まりの関連性は否定しきれないだろう。それとは別にこの件を持って「女の言うことはやっぱり信用できない」と攻撃材料にする人は信じられない。ケース・バイ・ケースで一つずつ事案を丁寧に見ていく必要がある。ただそれを個人がやるのは限界があるので、この手の問題への接した方は非常に難しいように思う。

 

  • おまけ

MINAMATA−ミナマタ−(字幕版)

ジョニー・デップがあらぬ罪でキャリアがメチャクチャにされたのが事実の場合、何ともやり切れない気持ちになるが、その反面『MINMATA-ミナマタ-』のような作品に出演してくれた、というポジティブな面も記しておきたい。

 

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