総製作費20億円を投下した木村拓哉主演、大友啓史監督、古沢良太脚本の『レジェンド&バタフライ』の興行収入が「ヒットだけど、思ったよりは入ってない…」みたいなことを言われている。
- 時代劇、興行収入30億円超えは漫画原作
ここ10年くらいの時代劇映画の興行収入を振り返ると2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の404.3億円は別格として、最終興行30億円超えのヒットを記録したのは『レジェバタ』と同じ大友啓史監督の佐藤健主演『るろうに剣心』シリーズ(1作目30.1億円、2作目52.2億円、3作目43.5億円、4作目43.5億円、5作目25.0億円)と小栗旬主演『信長協奏曲』の46.1億円、そして福田雄一監督のコメディ色の強いSF時代劇『銀魂』(1作目38.4億円、2作目37.0億円)くらい。どれも人気マンガを原作にしており、時代劇に馴染みのない層からも支持を集めやすい作品だった。
- 時代劇映画、漫画原作以外は30億円に壁
一方で漫画原作以外の大型時代劇映画だと2012年公開の樋口真嗣・犬童一心共同監督・野村萬斎主演『のぼうの城』が28.4億円、2013年公開の三谷幸喜監督『清須会議』が29.6億円、2017年公開の大野智主演『忍びの国』が25.1億円、同年公開の原田眞人監督・岡田准一主演『関ヶ原』が24.0億円と興行収入30億円の壁を感じさせる。
- 予算かけても…
また時代劇は『キネマ旬報』の興行欄で総製作費15億円と指摘されていた2016年公開の堤幸彦監督・中村勘九郎主演『真田十勇士』が6.08億円、2017年公開の三池崇史監督・木村拓哉主演で人気漫画を実写映画化した『無限の住人』が9.65億円、同年公開のEXILE・HIROがプロデュースした製作費10億円以上の『たたら侍』が最終興行が公表されないほどの爆死、2021年公開の原田眞人監督・岡田准一主演『燃えよ剣』が製作費約9億円で11.8億円と予算に対して見合わない興行の作品も少なくない。現代劇よりも予算の高い傾向にある時代劇の興行収入が10億円割れも珍しくなく、それどころか人気漫画の実写映画化と違って大ヒットしても30億円に届かないというのは世知辛い。
- 最後に…
『レジェンド&バタフライ』もオープニング興行から30億円に届くかどうかが一つのラインとして注目されているが、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督がキムタクと組んで莫大な予算を投下して日本で一番有名な武将である信長を映画化しても30億円程度が上限となるとやはり時代劇で大ヒットを飛ばすのは難しいのかな、という気持ちになってしまう。今後どこまで伸びるか…
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