中居くんの女性トラブルを巡る一連の対応でフジテレビのCMが大変なことになった2025年1月の映画興行収入レポート。
- ガンダムファン、『ジークアクス』に熱狂
1月最大のヒットは『エヴァンゲリオン』シリーズのスタジオカラーが『ガンダム』シリーズのサンライズとタッグを組んだ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』でテレビアニメの劇場先行作品にも関わらず2月下旬段階で興行収入25億円を超えて最終的に30億円も突破しそうな勢い。「ガンダムを観に行ったらガンダムが始まった」という当たり前なのに、当たり前ではないことがスクリーンに映し出されたことで、「ガンダムファンならネタバレを観る前に映画館で観るべし!」と熱狂を生んだ。『ガンダム』シリーズの興行収入としては『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』を超えて、昨年公開の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に次ぐ歴代2位。テレビアニメの放送開始時期などの詳細は発表されていない(追記:4月8日から日テレ系で毎週火曜24時29分)が、仮に今後も映画版で先行公開という形を取り、尚且つエンドクレジットから放送局と予想されている日テレの『金曜ロードショー』が全面協力してプロジェクトが進むのなら、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズのように作品を重ねるごとに倍々ゲームの興行になる可能性もありそうな予感。
- アンチ代表も喜ぶ『孤独のグルメ』ヒット
新シリーズの放送が決まるごとに主演の松重豊が「ただおっさんが淡々と飯食ってるだけ」「どこが面白いのかな」「“オワコン”という言葉を知りまして、この番組にピッタリだな」「お客さんが終わってもいいと思っても仕方ないくらいマンネリもマンネリ」「大晦日にスペシャルをやると聞いてテレ東は大晦日を捨てたな」「まだこの番組を見たがる視聴者がいることが不思議だ」などとアンチ発言を繰り返すことが話題のテレビドラマ『孤独のグルメ』シリーズをアンチ代表の松重豊が主演だけでなく脚本と監督まで務めた『劇映画 孤独のグルメ』が興行収入10億円に迫るヒットを記録。松重豊はプロジェクト発表会見で「これでお客さんも入らなければ、これはもう僕としても次に井之頭五郎をやることはもう無理だな」とも述べていたが、ちゃんとお客さんも入ったので、まだまだ演じ続けられる模様。松重豊も「お客さんに『腹が減ったよ』『面白かったよ』『心があったまったよ』って言われる言葉がうれしい」と何だかんだで嬉しい様子。仮に映画第2段があるのなら、今回幻となったポン・ジュノ監督、野木亜紀子脚本の『孤独のグルメ』も観てみたいが、ハードルはかなり高そう。
松重豊、『孤独のグルメ』映画化に覚悟「当たらないと次はない」 | ORICON NEWS
松重豊、主演・監督作『孤独のグルメ』ヒットに「至上の喜び」 観客の熱量を実感「いろんな見方ができる」 | ORICON NEWS
- 三流ツイ廃芸能人、出演映画で挽回ヒット
三流芸能人・赤楚衛二と三流ツイ廃芸能人・上白石萌歌が出演のHYの同名楽曲をモチーフにした『366日』が興行収入25億円超えが見込めるヒット。本作のオープニング4日間の興行は2.33億円と同日公開の『劇映画 孤独のグルメ』の3.29億円を下回り、最終10億円超えが厳しいスタートだったが、平日が好調かつ2週目、3週目の興行が初週を超えるなどの異例の推移を見せて、初週のコケスタートを口コミで挽回するヒットとなった。
赤楚氏ぃ。なんかウチらの漫才(日常)バズってる….
— 上白石 萌歌 (@moka_____k) 2025年1月9日
映画「366日」
明日公開!
みてねえ https://t.co/eOgqfsy3Lb
一部では作品の評価だけでなく、ヒロインの上白石萌歌のツイ廃ぶりが「ネットドブ板」的なポジティブ効果を生んだとの指摘もあり。ちなみに昨年放送の月9ドラマ『366日』と本作は同じ楽曲をモチーフにしただけで無関係。
映画『366日』口コミで2週目に“右肩上がり現象” 鑑賞後の観客を直撃インタビュー | ORICON NEWS
- 製作費10億円の大作も… コスパ悪い時代劇
入江優監督が大泉洋主演で垣根涼介の時代小説を実写化した『室町無頼』は最終興行6億円程度の大コケ。本作は東映による木村拓哉主演、古沢良太脚本、大友啓史監督で織田信長を描いた映画『レジェンド&バタフライ』に続く京都撮影所撮影の製作費10億円規模の大作時代劇で東映制作映画初のIMAX上映を行うなど力を入れていたが惨敗の結果。そもそも『レジェバタ』しかり、北野武監督の『首』しかり、時代劇は現代劇に比べて衣装やセットなどで予算が嵩む反面、興行的には漫画の実写化を除けばあまりヒットしないジャンル。戦争映画も同様だが、歴史に疎いと「映画の舞台となる時代の前提知識がないと楽しめない」と現代劇よりも鑑賞ハードルが高くなりがちだ。しかも今回は大河ドラマでも頻繁に舞台となる国民的人気の高い戦国や幕末ではなく室町というのもネックだったのかも。日本の伝統として続いて欲しいが、製作費に対してコスパの悪いジャンルであることは否めない。
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- 福田雄一監督、漫画実写請負人とタッグも…
福田雄一監督が山﨑賢人主演で花沢健吾の人気コミックを実写映画化した『アンダーニンジャ』は最終10億円に届くか微妙な情勢。福田雄一監督は昨年12月に『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』を公開して最終8億円程度の微妙な結果に終わったが、今回も『キングダム』シリーズに『ゴールデンカムイ』シリーズと数々のヒットを飛ばす漫画実写の請負人こと山﨑賢人主演の最新作にしては物足りない結果。福田雄一監督は実写映画版『銀魂』のヒット以降、『今日から俺は!!』『新解釈・三國志』とヒット街道を歩んできたが、そろそろ新規参入者も少なくなってきて、同じノリに飽きた人の方が多くなってしまったのかもしれない。
妻がLINEでこれ送ってきて「頑張れ、アンダーニンジャ!」って言ってる😅ここに来て、125%って凄い数字だよね!😳これって、どこを検索したら見れるのかな?😅つか、そー言ってる妻がまだアンダーニンジャ、観てないっていうね😅観られるの怖いんだけど、観て欲しいなあ🥹わりと自信あっても、基本的に… pic.twitter.com/5z2gmUUNrG
— 福田 雄一 (@fukuda_u1) 2025年2月23日
ただ各劇場の上映回数が少なくなってきたタイミングで「満席続出」「座席数の少ないスクリーンばかりで入れない」との声も… 実際、具体的な数字も前週比から伸びており、一部では「スポンサー離れで流すCMがない製作のフジテレビが、ロングバージョン含めた本作のCMを流しまくってるからでは」と推測されている。
- 「九龍城砦」がキー、香港映画が異例のヒット
香港映画史上歴代No.1ヒットとなった1980年代の九龍城砦を舞台にした映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が日本でも口コミでロングランヒットを記録して、興行収入1億円を超えて2億円に迫るヒットを記録。日本でのヒットを受けた主要キャストや監督の緊急来日イベントなども予定されており、これからも暫くはジワジワと伸ばす見通しで、どこまで伸びるかは未知数。大半の日本人の鑑賞する映画は自国の作品かアメリカの作品がメインだが、今回は「九龍城砦」という日本でも馴染みがあり、ノスタルジーを誘う舞台でのカンフーアクションが「これは映画館の大きなスクリーンで観たい!」と鑑賞欲を引き上げた様子。アクション指導が『るろうに剣心』シリーズでお馴染みの谷垣健治が担当しているのも日本人にとっては少なからずプラスポイントだろう。
数年前にヒットしたインド映画『RRR』にも当てはまるが、普段見向きもされないアメリカ以外の海外の映画がヒットするのは「インド映画ならダンスだよね」とか「香港なら九龍城砦とカンフーだよね」みたいなその国に対するパブリックイメージとの一致が大きいように思える。その意味では山崎貴監督の『ゴジラ−1.0』がアメリカでヒットしたのも「日本といえばゴジラだよね」的なパブリックイメージ(というか、アメリカ的には教養?)との一致が大きかった(現に山崎貴監督もアカデミー賞の受賞記念記者会見で 「完全にゴジラのおかげ」「ゴジラに連れて行ってもらった」と述べていた)のだろう。普段観ない国の作品を観させるのには、やはりその国が持つ世界的に認知のある特有の文化で勝負をすること(そこにはステレオタイプの再生産に陥り、文化を消費し、消費される危険性は常に孕むが…)が大切なのかも。少なくとも「鑑賞して貰う」という高すぎるハードル突破の鍵になることは間違いない。
香港映画「トワイライト・ウォリアーズ」、日本での興行収入が1億円突破(ニュース地図) - 香港経済新聞
- 最後に…
映画「ドナルド・トランプの作り方」を高須クリニックは応援しています。
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2025年1月24日
アカデミー賞主演男優賞取れるといいな。なう。 pic.twitter.com/TIkMEhYgIr
前回の冬休み映画の興行収入に追加すると『はたらく細胞』が興行収入60億円を超えて、佐藤健主演『るろうに剣心 京都大火編』(最終52.2億円)及び武内英樹監督『テルマエ・ロマエ』(最終59.8億円)を抜いて主演俳優、監督共に自己ベストを更新する大ヒットを記録。キムタク『グランメゾン・パリ』は興行収入35億円を超えて40億円に迫る勢いで、『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』も25億円超え確実で30億円も視野に入るヒットとなった。最後に1月公開映画の小ネタを振り返るとジェイソン・ステイサム主演『ビーキーパー』の特典おみくじに「大凶」が入っていたことに対する苦情に配給会社が謝罪する珍事件やドナルド・トランプが公開中止を求めた伝記映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』をトランプを応援している高須クリニック院長がタイアップCMを作っていた(MAGA派からも結構好評みたいなので不思議な話でもない)、などがあった。
- オマケ
『室町無頼』の製作費が10億円で『ゴジラ−1.0』レベルでも15億円以下なのに、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は九龍城砦のセットだけで約10億円で、それが全体の1/6というのは「同じアジア映画なのに色々と凄いな…」的なことを思った。
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