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『風立ちぬ』下回るペース、興行収入100億円に「黄信号」のスタジオジブリ・宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』はヒットかコケか

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宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』の興行収入は前作『風立ちぬ』を下回るペースだ。

 

  • OP4日間で21.49億円、宮﨑駿監督ブランド健在

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本作は鈴木敏夫プロデューサーの意向で事前に予告編などの情報は公開されず「ポスター1枚のみ」での「宣伝しない宣伝」がなされた。そのためSNSでは「ライト層には宮﨑駿監督の最新作が公開される事実が伝わってないのでは」と懸念の声が多かった。とは言っても宮﨑駿監督レベルとなると村上春樹同様に「最新作を公開する」となれば、スタジオジブリ側が宣伝をしなくても周りが放っておかない。実際、本作では製作に関与してない日テレは『金曜ロードショー』で過去作をタイアップした際に最新作の宣伝をしていたし、公開初日周辺にはテレビ各局、新聞各紙が「10年ぶりの新作公開」と報じていた。また作品の情報こそ伏せていたものの、鈴木敏夫プロデューサーが精力的に文藝春秋やNHKなどのインタビューや関連イベントでメディアの前に登場して「宣伝しない宣伝」をすることをアピールするなど、露出自体は多かった。

その結果、公開初日からの月曜祝日を含めたオープニング4日間での興行収入は21.49億円と『千と千尋の神隠し』超えのロケットスタート。前作『風立ちぬ』対比でも150%超えの好スタートとなった。このオープニングの背景には「パンフレットの発売も後日」などの徹底した情報統制が「公開から暫く経ったら観に行こう」と思っていた層の一部を「ここまで情報が伏せられるなら、折角だしネタバレを喰らわない内に観に行こう」と心変わりさせることに成功したから、的な面もあるだろう。

公開前は前作から10年のブランクがあることなどから「大コケ」予想も少なくなかったが、原作完結から26年が経過し、その後は特に新規展開をしていなかった『THE FIRST SLAM DUNK』のヒットを踏まえれば、この10年『金曜ロードショー』で過去作を放送し続けて世帯視聴率二桁を維持し、放送する度にSNSで話題になっていた宮﨑駿監督ブランドが健在なのはある意味当然。コロナ禍初期の再上映もほぼ宣伝なしで好調だった。若者世代にブランドが浸透していないのではないか、との指摘もあったが20代なら前半でもギリリアルタイム世代だし、10代以下でも親はジブリの凄さを味わってる世代なので現段階ではまだブランドは受け継がれてるのだろう。そのため、個人的には映画館で予告編はおろか新作公開のプロモーション映像すら流さない姿勢に不安を抱きながらも「少し宮﨑駿監督のブランドを舐めすぎでは?」と感じていた。

 

 

  • 『風立ちぬ』下回るペース、100億円に黄信号

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一方で2週目の週末興行は8.31億円と初週の16.26億円から半減。ただこれは以来の情報統制故に本来2週目以降に鑑賞する予定だった層の一部が初週に劇場に向かったことで2週目の下げ幅が大きくなった可能性が指摘できる。またこの時点での累計興行収入は36.20億円と『風立ちぬ』の2週目段階の累計28億円を大きく上回っていた。しかし3週目での累計は46.93億円と『風立ちぬ』の3週目段階の累計43.58億円とその差は大きく縮まり、4週目では本作が累計54.80億円に対して『風立ちぬ』の4週目段階の累計は56億円と逆転された。そして5週目では本作の累計が62.35億円に対して『風立ちぬ』の5週目段階の累計は72.80億円と10億円以上の差がつき、お盆明けの6週目も本作は累計69.82億円と70億円手前で足踏みをしているのに対して『風立ちぬ』は80億円を超えていた。更に『風立ちぬ』は8週目で「宮﨑駿監督の引退宣言」という隠し玉を放ち大きく数字を伸ばしたが、更なる新作を匂わせている本作での「引退宣言」はない。あるとしたらエンドクレジットで存在が明かされている予告編の公開だが、どこまでの起爆剤になるかは未知数。現段階の推移だと最悪100億円割れの可能性もある。

 

 

  • 製作費は『かぐや姫の物語』の51.5億円超えか

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『キネマ旬報』2023年9月号 No.1928によると東宝は当初最終興行150億円超えを狙っていたが、3週目の段階で『風立ちぬ』の120億円超えまで目標を下げたという。現段階の推移ではそれすら厳しいが、そもそも宮﨑駿監督作品は『千と千尋の神隠し』の316.8億円をピークに『ハウルの動く城』が196.0億円、『崖の上のポニョ』が155.0億円、『風立ちぬ』が120.2億円と右肩下がり。この流れに当てはめれば最新作の興行収入が100億円程度に落ち着く(本来100億円なら十分凄いのだが…)のは予想の範囲内。それにも関わらず本作の製作費は鈴木敏夫プロデューサーによると「たぶん今回の映画は、今まで日本で作られたどの映画よりも、一番制作費がかかってると僕は思ってます」と『かぐや姫の物語』の製作費51.5億円超えも匂わせている。こうなると劇場公開のみで製作費を回収するには興行収入の半分が劇場側の取り分になることを踏まえると最低でも100億円は必要。更にそこから宣伝費分も回収しないといけないとなるとペイラインはもっと高くなる。NHKのインタビューに鈴木敏夫プロデューサーは「普通にやったら絶対(製作費を)回収できない」と述べていたが、これはSNSなどで再三指摘されてる通り本作での「宣伝しない宣伝」は口コミでの大きなムーブメントを巻き起こす賭けに出たのと同時に「宣伝費を抑えたかった」という目論みもあったのではないか、と思う。実際、もう10年近く前になるが『爆笑問題の日曜サンデー』に鈴木敏夫プロデューサーが出演した際に『風立ちぬ』ですら劇場公開ではペイラインに達しなかった、と打ち明けていた。

 

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ジブリ 謎の新作映画「君たちはどう生きるか」鈴木敏夫Pに単独インタ | NHK | アニメ

 

 

  • 最後に…

「映画は興行収入が全てではない!」と言っても本作の場合、仮に最終興行で100億円を割れば「コケ扱い」されるのは避けられない。何とか100億円を突破してもらいたいものだが…

 

 

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