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テレビアニメ版『墓場鬼太郎』の水木の顛末に引っ張られて泣き損ねた映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ネタバレ感想

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』オリジナル・サウンドトラック

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た。

 

  • 「小さい頃は好きだった」くらいのスタンス

ゲゲゲの鬼太郎

ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌

まず個人的な『ゲゲゲの鬼太郎』へのスタンスを示しておくと、小さい頃に当時放送していたテレビアニメやノイタミナ枠で放送されていた『墓場鬼太郎』、ウエンツ瑛士主演の実写映画版などを楽しく視聴していて当時は結構好きだった、みたいな感じ。ただその後も原作漫画や他のテレビアニメシリーズを熱心に追うとかはしていないので、「小さい頃は好きだったよ」的なスタンス。そのため一定の思い入れはあるけど、ファンとかではない。だから今回の作品に対しても「観たいな〜」とは思ってたけど、公開初日に劇場に向かうほどの熱量はなかった。ただ作品の評判の良さに加えて「本作は『ゴジラ−1.0』が描けていなかったものが描かれている」という趣旨のレビューを複数確認したことで「やっぱ観なきゃいけないな、何だかんだで鬼太郎好きだし」と鑑賞を決意。既に公開3週目に突入しているが、かなり座席が埋まっていて人気を肌で感じた。

 

 

  • 『墓場鬼太郎』と繋がるエンドロール

comic-days.com

本作は鬼太郎の父・目玉おやじの物語を描く『ゲゲゲの鬼太郎』の前日譚的な作品。「舞台が終戦から間もない頃の日本で事実上の主人公が戦争によるPTSDを抱えている『ゴジラ−1.0』との類似性が多いため比較されがちなのも分かる」とか「『ゴジラ−1.0』はゴジラ討伐を通して元兵士らが戦争によるトラウマやコンプレックスを解消していく『戦争やり直し映画』だったのに対して、本作はヒロポンを連想させる薬『M』を使って戦時中同様に部下を酷使することで経済成長を遂げて敗戦の屈辱を晴らそうとする悪役による『戦争やり直し』の側面が描かれていてエグい」とか「沙代が当主のお気に入りだったことが発覚した際に挿入された彼女の純粋そのものな笑顔の数々を観るのが辛い」とか「乙米に鉄パイプが突き刺さって目玉と血肉が先端から飛び出して死ぬ演出は思わず笑いそうなるくらいインパクトのあるシーンだった」とか色々と感じなら観ていたが、やはり一番グッと来たのはエンドロールで本作の水木と『墓場鬼太郎』の初回で鬼太郎の両親となる人物と出会う水木が繋がったところ。勘の良い人や鬼太郎ファンなら推測できたのだろうが「小さい頃は鬼太郎好きだったな〜」程度の自分としては「鬼太郎シリーズにとって水木は妖怪と関わる一般人の表象で今回の水木とあの水木は全く別の存在」と思い込んでいたので「こう繋げるのか」と素直に驚いたし、「あの不気味にしか思えなかった夫婦が物凄く愛おしく見える」不思議で温かい感覚となった。エンドロールにセリフなしで描かれるのも味だった。

 

 

  • テレビアニメ版『墓場鬼太郎』がノイズに…

youtu.be

ただ「それで感動して泣いたの?」と問われると自分にとって一番思い入れがある鬼太郎がノイタミナ枠で放送されていたテレビアニメ版『墓場鬼太郎』だったことがノイズとなって微妙に泣き損ねた。というのもテレビアニメ版『墓場鬼太郎』の鬼太郎は結構薄情で、洪水に巻き込まれて助けを求める水木に対して「じゃ」と一言捨て台詞を吐いてそのまま見捨ててしまう、みたいな描写が自分の中では特に強く記憶に残っていた。しかも本作を見るにあたってYouTubeで無料公開されている初回を見返したことで水木は生きたまま地獄に送られたことや彼の母親もそのことで正気を失ったりしたエピソードの記憶も鮮明だったこともあって「水木さんに思い入れが出来た分、複雑なんだけど…」的な気持ちがノイズとなり微妙に泣き損ねた。ただ水木が鬼太郎を抱きしめるシーンを見て「きっとあのテレビアニメ版『墓場鬼太郎』とは違うルートを辿るんだろう、よく考えたら本作はテレビアニメ版『墓場鬼太郎』ではなく6期の前日譚だし」と胸が熱くなったし、その後よくよく調べてみると水木の扱いはテレビアニメ版『墓場鬼太郎』が特に悪いということ、6期の水木と鬼太郎は絆があるっぽいことも知って安心した。この手の作品は観客サイドのそれまでの作品に対しての思い入れ具合に左右される面があるが、鬼太郎に関しては自分はちょっとズレた形で思い出を保存していたらしい。

 

 

  • 最後に…

それはともかく『墓場鬼太郎』の初回で目玉おやじとなる妖怪夫婦が水木を信頼して幽霊族の話をしたりとか、水木が亡くなった2人を最低限供養しようとしていた理由が後付け的ではあるが、分かったのはグッと来た。エンドロールに関しては『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』と並んで今年ベスト級の作品となった。

 

 

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