『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を観た。
- 監督「『夢のチョコレート工場』の姉妹編」
「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」監督が目指す映画の希望 | 毎日新聞
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年12月3日
→キング監督はミュージカル色の強い71年版の「姉妹編」を考えた
→「この映画でも、ウォンカを突き動かすのは亡き母親が作ったチョコの味を再現しようとすることなんだ」 https://t.co/Iwc5jM5qd3
「あの『チャーリーとチョコレート工場』を覚えていますか?」「あの名作『チャーリーとチョコレート工場』の始まりの物語」、宣伝映像によっては「ティム・バートン監督『チャーリーとチョコレート工場』のはじまりの物語」とまで明記し、タイトルロゴも『チャーリーとチョコレート工場』にそっくりな本作。多くの人はあの『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚と認識させる本作の宣伝だが、実は本作はあの『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚ではない。ならば「元の原作小説からイメージを膨らませたオリジナルの前日譚なのかな」と思いきや、なんと本作の監督は1971年公開『夢のチョコレート工場』にリスペクトを捧げており、その「姉妹編」という認識を示している。そのためウンパルンパのデザインも『夢のチョコレート工場』の緑髪でオレンジ顔のモノが採用されている。
- 宣伝側の都合を汲み取ると…
「宣伝詐欺じゃないか!」との声も聞こえるが、宣伝サイドの立場になれば知名度が皆無に等しい「『夢のチョコレート工場』の前日譚」と宣伝した場合、プラス要素にはならないどころか「あっ、自分が知ってるヤツと違うのなんだ…」とマイナス要素になる可能性すらあるレベル。一方で本作の宣伝にあたって公開が約20年前にも関わらずこれまで繰り返し地上波放送がされて、一般認知度が高い人気作『チャーリーとチョコレート工場』に全く触れない、というのはあまりに勿体無い。そのため「嘘にならないレベル」で『チャーリーとチョコレート工場』と絡めようとした結果、今回のような宣伝になったと推測される。
- ウォンカの親の設定に食い違い
そんなこんなで「なんだかな…」と思いつつも、『チャーリーとチョコレート工場』の熱心なファンなら事前情報からその事実に気づくだろうし、ライトに『チャーリーとチョコレート工場』が好きなくらいのレベルだったら「ウォンカの前日譚であることは事実だし、『夢のチョコレート工場』も『チャーリーとチョコレート工場』も同じ原作だからそんな問題ないか」なんてことを思ったりしていた。ただ実際の作品を鑑賞してみると『チャーリーとチョコレート工場』では原作からウォンカと歯医者の父親の確執をオリジナル設定で追加していたのに対して、本作では母親のウォンカへの想いがオリジナル設定として追加されている。つまり両作品共にウォンカの親が彼のチョコレート人生に大きな影響を与えているオリジナルの追加設定があるが、その設定が食い違っているのだ。そのため別作品だと認識、もしくは細かいことを忘れている人は特に問題ないが、「あの『チャーリーのチョコレート工場』の前日譚」だと認識して観に行くと「アレ?前のヤツと設定違くね?」とノイズになる可能性はある。
- 最後に…
まー、もしかしたら宣伝サイドも本編の内容を知らない段階でコピーを作って今頃「ヤベッ」と思ってるのかもしれないが、今後もこういうことは時折起こるのだろう。ちなみに本作は単体の作品としてはクリスマス気分やバレンタイン気分にマッチする冬に観たいファンタジー映画として素敵だったと思う。後々の展開を踏まえると「このウォンカもスパイにやられて、人間を信用できなくなり、ウンパルンパと工場に引き篭もるのか…」感もあるのだが、本作がヒットしたら次は本編の方を再々実写化して欲しいな、と思った。
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