2023年の年末、全国の映画館では『君たちはどう生きるか』と『窓ぎわのトットちゃん』が上映されている。
- 戦争経験者による子供時代の「自伝的作品」
#ジブリと宮﨑駿の2399日
— プロフェッショナル仕事の流儀 (@nhk_proff) 2023年12月15日
スタジオジブリの世界的な映画監督 #宮﨑駿 さん(82)は、いかにして新作 #君たちはどう生きるか を作り上げたのか。創作の舞台裏で、繰り広げられていた物語。
あす16(土)よる7:30~#プロフェッショナル#宮﨑駿スペシャル pic.twitter.com/OXOF3JX4Pa
✦#黒柳徹子 さんにインタビュー✦
— 映画『窓ぎわのトットちゃん』公式アカウント (@tottochan_movie) 2023年3月19日
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イメージボードを手に
何度も説得を重ねる八鍬監督の熱意が
黒柳徹子さんに届き、奇跡の映画化が実現しました🎙´-
映画『#窓ぎわのトットちゃん』
❁2023年冬 ʀᴏᴀᴅsʜᴏᴡ❁ pic.twitter.com/yVgF17rS3D
両作品の共通点は戦争を経験した国民的スターである宮﨑駿監督と黒柳徹子の子供の頃の「自伝的作品」であるということである。「自伝的作品」といっても宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』はファンタジーであるのに対して、黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』はノンフィクションと明確な違いもある。また宮﨑駿監督は現在82歳なのに対して、黒柳徹子は現在90歳と子供目線で見れば「8歳差」というのはかなり大きい気もする。また『君たちはどう生きるか』は疎開後の物語なのに対して、『窓ぎわのトットちゃん』は疎開までの物語という違いもある。ただ「戦争経験者がどんどん少なくなっている」という指摘がされる中で、日本の国民的スターである戦争経験者の2人による子供時代の自伝的作品が同時期に上映されていることからは何か運命めいたモノを見出したくもなる。
- 対照的な主人公
両作品には他にも「2人とも経済的に裕福な家庭だった」みたいな共通点もあるが、主人公の性格はかなり違っている。まず『窓ぎわのトットちゃん』の主人公である黒柳徹子ことトットちゃんは転校先の「トモエ学園」という小学校で友達と楽しい日々を送っているお転婆な女の子。一方で『君たちはどう生きるか』の主人公である宮﨑駿監督がモデルの眞人は疎開先の学校に馴染めず、「一対多数」の喧嘩に挑みボコボコにやられたりする。また両親との関係においてもトットちゃんは母親から心配をされながらも愛されていることは間違いなく、父親に関しても「自分のヴァイオリンで軍歌は弾けない!」と宣言するなど彼女にとって尊敬に値する人物という描かれ方をされている。一方で眞人の母親は火事で亡くなり、新しい母親に懐けない。その上父親の仕事は軍需工場の経営者と「戦争にバリバリ加担する側」の人物であることから眞人にとっては色々と複雑な心境になる存在だ。
- 国民的スターが同時期に…
❁トットちゃんメモリー❁
— 映画『窓ぎわのトットちゃん』公式アカウント (@tottochan_movie) 2023年12月14日
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君は、ほんとうは、いい子なんだよ
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映画『#窓ぎわのトットちゃん』
大ヒット上映中🎬✧˖° pic.twitter.com/hwP6u5fTXd
更にトットちゃんには「君は本当はいい子なんだよ」と優しく自身を全面肯定してくれる校長先生もいるが、眞人にはそうした存在もいない。だから眞人は自分の中に溜まったモヤモヤをぶつけるかのように自身の頭を石で血がダラダラと出るほど叩いてしまう。そのためトットちゃんは自己肯定感が高い「陽キャ女子」なのに対して、眞人は自己肯定感が低い「陰キャ男子」ということになる。トットちゃんは眞人のように態々「友達を作ります」なんて宣言しなくても「友達たくさん嬉しいな」だ。そんな対照的な子供時代の2人がその後国民的スターとなり、多くの日本人に元気を与え、今年は同時期に自身の子供時代の体験を伝える映画を公開しているというのはやはり運命的なモノを見出したくなるし、そうでなくてもとても貴重でありがたいことだ。
- 最後に…
『君たちはどう生きるか』は米津玄師の『地球儀』、『窓ぎわのトットちゃん』はあいみょんの『あのね』と共に若い世代のアーティストが主題歌を担当しているということも共通している。ここからは新世代のアーティストによって「あなたたちのバトンを受け継ぎますよ」と宣言をされているようで、感動的だった。
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