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【君たちはどう生きるか】プロフェッショナル「高畑勲(大叔父)の築き上げた世界も崩壊する、それは宮﨑駿(眞人)からのさようなら」

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NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で「ジブリと宮﨑駿の2399日」が放送された。

 

本放送回では最新作『君たちはどう生きるか』に関してこれまで公の場で多くのことを語ってこなかった宮﨑駿監督の姿が映し出された。本作は事前に鈴木敏夫プロデューサーが「宮﨑駿の自伝的ファンタジー」と明かしていたことから、主人公・眞人は監督自身だと一定の認識をされていた。一方で公開直後は「大叔父もまた宮﨑駿監督自身なのではないか」との考察が多くなされた。しかし『SWITCH VOL.41 NO.9 ジブリをめぐる冒険』で鈴木敏夫プロデューサーが「高畑勲さんがこの大叔父のモデル」と述べたことから、「大叔父のモデルは高畑勲監督」との認識が広まった。

 

 

そして今回の『プロフェッショナル』によって宮﨑駿監督が大叔父を高畑勲監督をモデルにしていたことが確定。宮﨑駿監督は大叔父のシーンを描く際に「世界の中心にいりゃいいんだ、パクさんは。言っちゃヤバいんだけど、ついパクさんって出てくる」、大叔父のアップのカットについて「パクさんに似てると思わない?」などと発し、本作のクライマックスについては「やっとパクさんを葬ったんです」「殺しちゃった」とまで述べた。その上『プロフェッショナル』のナレーションでは本作を「宮﨑さんが主人公・眞人としてジブリのような塔にいる高畑さん(大叔父)を探す旅に出る、ただ一人では怖いので鈴木さん(アオザキ)を道連れにする物語」と紹介し、映画のクライマックスの映像を使いながら「宮﨑は(高畑の最後の頼み事を)拒む」「高畑の築き上げた世界も崩壊する、それは宮﨑からのさようなら」「宮﨑は映画の中で高畑と完全に決別した」とキャラクター名ではなくモデル名で「これが唯一の答え」と言わんばかりに上からナレーションを被せて解説。これまで予告編すら公開してこなかった作品の映像のテレビ初お披露目が「映画のラストをガッツリかよ」問題は置いといても「流石にやりすぎなんじゃないか…」と苦笑いせざるを得ない内容だ。正直これがアリなら岡田斗司夫が迷惑扱いされてるのが可哀想になるレベル。ただドキュメンタリー番組としては物凄く面白かった。

 

 

本作を「(宮﨑は高畑を探しに行く、)先に行った仲間たち(キリコ=保田道世)に見守られながら…」と紹介することで、作品を「あっちの世界」と位置付け、高畑(大叔父)最後のセリフ「自分の時に戻れ!」によって宮﨑駿監督が「この世」に戻ってきた、彼はこれからも生きて作品を作り続ける、ということを主張するかのような構成も見事だった。この番組構成からは『風立ちぬ』ラストの二郎と菜穂子のやり取りを思い出したりもした。「この世に戻ってくるのはめんどくさい」、それでも「生きねば」ということか。

 

 

最後に鈴木敏夫プロデューサーによると宮﨑駿監督は主人公・眞人だけでなくインコ大王にも自分を重ねているという。しかしその件について番組内では言及はなかった。つまり本番組に映ってない、もしくは意図的に編集で残さなかった場面も当然のようにある訳だ。そもそも鈴木さんは「当初は眞人と大叔父の物語だったが、高畑勲監督が亡くなったことで宮﨑駿監督は大叔父の存在を忘れていた」という認識で番組の「高畑勲監督が亡くなったことで宮﨑駿監督は大叔父への想いを強めた」という見解とはズレがある。そのため、当たり前の話ではあるが、番組の作品解説も絶対的な答えではなく解釈の一つに過ぎないのだろう。2399日を1時間ちょっとにまとめているのだから、映ってないことの方が遥かに多い。ただ密着している分、やはり解像度はメチャクチャ高いように感じる。

 

 

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