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【興行収入】国内では『シン・ゴジラ』下回る推移の山崎貴監督『ゴジラ−1.0』、理由は「日本人が今観るべき映画」感の差?

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山崎貴監督『ゴジラ−1.0』の国内興行収入についての雑感。

 

  • 最終50億円超え見込み、実写の年間トップ級

シン・ウルトラマン

「ミステリと言う勿れ」映画オリジナル・サウンドトラック(特典なし)

本作は2023年11月3日(金)に公開されオープニング3日間で10.41億円の大ヒットスタートを切り、公開6週目段階で累計興行収入41.5億円を突破している。これは最終興行44.4億円の『シン・ウルトラマン』の6週目段階の累計38.89億円、最終興行48億円見込みの『ミステリと言う勿れ』の6週目段階の累計40.35億円を上回っている。そのため本作は最終興行45億円超えはほぼ確実、また冬休み及び年末年始を踏まえれば最終興行50億円超えも期待できそうな雰囲気だ。今年度公開の実写邦画としては『キングダム 運命の炎』の最終興行56億円見込みに次ぐヒットとなる。

キングダム 運命の炎

本作が最終的に『キングダム 運命の炎』を越して実写邦画年間トップに躍り出ることが出来るのかは微妙な所だが、近年の実写邦画年間トップの最終興行は2020年の『今日から俺は!!劇場版』が53.7億円、2021年の『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』が50.6億円、2022年の『キングダム2 遥かなる大地へ』が51.6億円と全作品50億円台であり、最終興行50億円超えが見込まれている本作は「年間トップ級のヒット」である。

GODZILLA ゴジラ(吹替版)

2014年開始のモンスターバースシリーズと比較しても『GODZILLA ゴジラ』の最終32.0億円、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の最終28.4億円、『ゴジラvsコング』の19.0億円を圧倒している。

永遠の0

STAND BY ME ドラえもん

また山崎貴監督作品としても『永遠の0』の最終87.6億円、『STAND BY ME ドラえもん』の最終83.8億円に次ぐ3番目のヒットとなる見通しである。

 

 

  • 100億円超えへの期待度からすると…

アメリカでも日本映画としては異例のヒットを記録しており、「文句なしの大ヒット!」と言いたいところだが、ここに関しては評価が割れている様子。というのも本作は制作発表段階から一部では「東宝は100億円を狙っているのではないか」との風潮があり、また公開初日段階で『シン・ゴジラ』を大きく超える数字だと発表された際にはSNSなどでは「100億円突破」を期待する声も多かった。その意味では本作の興行収入は期待値の半分程度ということになる。

時代設定やアクションシーン満載の「体感型映画」であることを踏まえると、興行収入40億円が一つの目途になると想定されます。

「ゴジラ-1.0」興行収入の行方 「ゴジラ」×「ALWAYS 三丁目の夕日」の化学反応はどうなる?【コラム/細野真宏の試写室日記】 : 映画ニュース - 映画.com

一方で映画評論家の細野真宏氏は公開前の段階で本作が「体験型映画」であることなどから興行収入40億円が一つの目処になると想定した。自分は事前にこの記事を読んでいたこともあって、本作へのファーストインプレッションは「ゴジラのシーンに関してはかなりアトラクション方向に振ってきてるな…」「これだと興行的には『シン・ゴジラ』みたいな広がり方はしないだろうな…」と感じた。ただ11月上旬公開の本作は昨年公開の新海誠監督『すずめの戸締まり』同様に年末年始もロングランをかけることが予測され、山崎貴監督作品の作風は『永遠の0』『海賊とよばれた男』『DESTINY 鎌倉ものがたり』などのように年末年始の空気とも相性抜群なので50億円超えも狙えるのではないか、とも思った。一方でオープニング3日間の興行の内訳が金曜祝日公開であることを踏まえても初日にかなり寄っていたので、初動型で思いの外伸び悩むのではないか、とも思った。ただその不安は外れて、アメリカでのヒットの追い風もあってか公開から1ヶ月以上が経ち、新作が次々と公開されて上映回数や座席数が削らる中でも高い先週比を維持しているようだ。今後の興行の推移はこの冬一番の本命でもある『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』公開後にどの程度上映回数と座席数が維持できるが、そして海外も含めた賞レースの結果でどこまで盛り上がるを見せれるかにかかっているのだろう。

 

 

  • 『シン・ゴジラ』下回る推移、口コミに差

シン・ゴジラ

『ゴジラ−1.0』は良くも悪くも『シン・ゴジラ』との比較は避けられない作品でもある。そして国内でのインパクトにおいては『シン・ゴジラ』に軍配が上がる印象を受ける。そしてそれは興行収入の差にも表れているとも思う。まず『シン・ゴジラ』は「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。」のキャッチコピーに表れていたように「現代日本にゴジラが現れたら」をシミュレーションした作品。今を生きる日本人としては当事者性が高い作品だった。それに対して『ゴジラ−1.0』の舞台は敗戦直後の日本。現代日本から離れた時代である分、どうしても当事者性は下がる。また『シン・ゴジラ』は複数の政治家が話題に上げたことなどから普段映画を観ない層へも「今見るべき映画」としてのイメージを獲得することに成功したが、本作は政府が機能していない社会での民間主導故に同様の現象には期待できない。その上、民間主導と言っても基本的に元軍人たちの物語なので一般人視点においても「『シン・ゴジラ』が官僚の物語だったのに対して今度は自分たち目線の物語だ!」感は薄い。ゴジラに対抗する政府や自衛隊、米軍の動きを見守る方が一般人視点においても当事者性を高く感じる人が多いのではないか。ゴジラ上陸による一般人の被害や避難の面においても『ゴジラ−1.0』より『シン・ゴジラ』の方がちゃんと描かれていたようにも感じる。

また口コミによるヒットは興味のない人に興味を持たせること、興味はあるけど観るか悩んでいる人の背中を押すことが重要であり、分かりやすいセールスポイントがあると広がりやすい傾向にある。その意味では『シン・ゴジラ』のモチーフは「東日本大震災及び福島原発事故」と分かりやすい反面、『ゴジラ−1.0』は「コロナ」や「新しい戦前」要素を後から纏い出した、みたいな感じなので口コミ的分かりやすさとしては弱い。またドラマ面においても『シン・ゴジラ』公開時に流行していた「『半沢直樹』や『下町ロケット』などの池井戸潤原作ドラマを観てるような面白さ」という当時のドラマ好きの需要と一致するキラーフレーズもあった。その上、シミュレーション型映画であるため「リアリティがある」「ハリウッド大作と違って知っている場所が壊されるのが良い」といった感想も多く、ここでもやはり「日本人が今見るべき映画」としての立ち位置を強く感じさせた。

ゴジラ ムービーモンスターシリーズ ゴジラ2016(第二形態)

更に『シン・ゴジラ』には多くの観客に強いインパクトを与えた「ゴジラ第一形態」という「秘密」もあった。これは公開当時最重要ネタバレ事項扱いされ、作品を勧める側としては「とにかくネタバレを喰らわない内に観た方がいい」と熱量が高くなる傾向にあり、勧められた側としてもその熱量に押されて「そこまで言うならネタバレを喰らわない内に観に行こう」とその「秘密」が気になり劇場に向かう確率も高くなる。そして勧められた側が進めた側と同じようにその「秘密」に驚いたのなら、他の人にも共有したくなる。こうなると口コミは一気に広がり、気づけば「秘密を知っているモノ」と「知らないモノ」に大きく分かれ、「興味はあるけどどうしようかな〜」くらいの人もそうした状況に触れることで「これは早い内に観に行った方がいい」と背中を押されて重い腰を上げるようになる。『シン・ゴジラ』は「日本人が今見るべき映画」というポジションを得るに留まらず、こうした面でも圧倒的な強さがあった。

このように『シン・ゴジラ』がヒットした理由を振り返り、尚且つ『ゴジラ−1.0』と比較していくと、どうしても『ゴジラ−1.0』の方が色々と弱いような気はする。ただこれは国内においての話であり、海外においては『ゴジラ−1.0』の方が圧倒的に強い。またこの比較は『ゴジラ−1.0』が公開中で評価が定まる前の段階の話なので、来年の今頃は「国内においても『ゴジラ−1.0』の方がインパクトがあった」という話になっているかもしれない。

 

※「現代日本人に当事者性が高い」=「自分たちの話」

 

 

  • 最後に…

作品の評価云々とはあまり関係ないが、「新」や「真」といった前向きでポジティブなイメージが強い『シン・〜』に対して『−1.0』は「マイナス」というネガティヴなイメージが強いので、『シン・〜』みたいな汎用性も低いだろうな、とどうでもいいことを考えたりもした。

 

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

  • 長谷川博己
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