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黒柳徹子「スルメを貰うために兵隊に『バンザイ』と旗を振って見送った」、映画『窓ぎわのトットちゃん』で描かれた後悔と理想

【映画パンフレット】映画 窓ぎわのトットちゃん 監督 八鍬新之介 出演 声の出演:大野りりあな、小栗旬

ネタバレ注意

映画『窓ぎわのトットちゃん』が絶賛公開中だ。

 

  • SNSで口コミ広がる

窓ぎわのトットちゃん: (講談社文庫)

本作は黒柳徹子の自伝的小説をアニメ映画化した作品。公開前は有名ベストセラー小説の今更の映画化であることやテレビ朝日と黒柳徹子の蜜月関係、戦時中にも関わらずお化粧をなどからあまり注目を集めてなかったどころか、ややナメられがちな雰囲気や敬遠する空気すら感じたが、公開が始まると映画を観た人によるSNSでの感想が絶賛の嵐で口コミが広がっていった。今年の年末年始の映画館は『君たちはどう生きるか』『ゴジラ−1.0』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』と戦中・戦後を舞台にした戦争がテーマの作品が集中していることも、相乗効果を生んだように思う。

 

 

  • 兵隊を見送る日の丸ロードを逆走

そんな本作の個人的ベストシーンは物語終盤で泰明ちゃんの葬式から抜け出したトットちゃんが、戦争に向かう兵隊たちを市民らが日の丸の旗を持って送り出す道を逆走するシーン。本作は開幕から終盤まで全編に渡って、日の丸を連想させる赤と白のカラーリングが多用されているが、クライマックスでトットちゃんが日の丸ロードを逆走する姿はまるで戦争に向かう日本の全体主義の空気に逆らっているように見えてとにかく泣けた。それでいて学校のお弁当の時間では、それまでは生徒ごとにそれぞれ色合いの違うオカズの入った多種多様な中身だったのが、終盤ではトットちゃん含めて全員のお弁当が白米の真ん中に梅干しという日の丸を連想させる中身に変わっていて、日の丸ロードを逆走していたトットちゃんですら日本の大きな流れに飲み込まれてしまっているようで、更に泣けた。

 

 

  • 黒柳徹子の後悔

 「『バンザイ』と言って見送るとスルメの足を1本ずつくれるんです。食べたらすごくおいしかったので、駅から『バンザイ』という声が聞こえると、わーっと走っていってスルメをもらって」

 「そのことを、ずいぶん後悔しています。私が『バンザイ』と旗を振ったことで、その兵隊さんは『子どもが送ってくれたんだから一生懸命戦わなければ』と思ったかもしれない。私は戦犯ではないけれども、私のやったことは正しいことではなかった。送りに行くべきじゃなかった」

「ケンカはしない」黒柳徹子さんの信念 今こそトットちゃんの平和論:朝日新聞デジタル

一方で実際の黒柳徹子は日の丸ロードを逆走などしておらず、むしろ戦争に見送った兵隊からスルメを貰えた経験から「バンザイ」の声が聞こえたり、兵隊を見かけたりすると「スルメが貰える」と思って、走っていって、旗を振って戦争へと見送っており、それを今となっては物凄く後悔しているという。トットちゃんの日の丸ロード逆走シーンは原作にはなく、映画オリジナルの演出であり、また映画の脚本は黒柳徹子が執筆した訳ではないが、あのシーンは彼女が今の視点から「本当はやるべきではなかった」という後悔と「(逆走は比喩的表現だが)本当はこうするべきだった」という理想が映し出されたシーンだったのではないか、と感じた。その意味では第三者によって描かれた後悔と理想の逆走を黒柳徹子がどのような心境で鑑賞したのか、気になるところではある。

 

[#あちこちのすずさん] 黒柳徹子さん「スルメが食べたくて…」戦時中の後悔 | NHK | #shorts - YouTube

 

 

  • 最後に…

youtu.be

黒柳徹子のYouTubeチャンネルでは本作の感想や「1日分の食料として渡された15粒の大豆の配分」「愛犬ロッキー疾走の謎」など戦争体験の話だけでなく、おやつカルパスを「マズいね、これあんまり美味しくないね」とdisる駄菓子レビュー動画やお寿司22貫とデザートを平らげた上で動画では使えない感想コメントをしてスタッフを困らせる回転寿司爆食動画など普通に面白かったりするのでオオスメ。

 

 

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