新海誠監督最新作『天気の子』の興行収入が100億円を突破した。日本映画での興行収入100億円突破は2016年公開の同じく新海誠監督作品の『君の名は。』以来3年ぶり10本目の快挙となる。
川村元気プロデューサーは「『君の名は。』が『もののけ姫』のようなヒットになったから『天気の子』は『千と千尋の神隠し』を狙った」などと語ったいた。残念ながら『天気の子』の興行ペースでは『君の名は。』の興行収入を超えるのは難しいと思うが、そもそも日本のオリジナルアニメ映画は興行収入10億円を超えるのも至難の業で興行収入30億円突破をすれば合格点、50億円を越えれば記録的大ヒット、70億円を突破すれば手放しで喜べるレベルであるはずだ。それが『君の名は。』が当初の目標を大きく上回る奇跡的なヒットを記録してしまったことで『天気の子』は公開前から「興行収入100億円は超えるよね」という本来ならあまりにも高すぎるハードルを「当然」の如く押し付けられていたのだからある意味不憫な作品とも捉えられる。
当然東宝は『天気の子』が興行収入100億円を越えるように公開日を『君の名は。』より約1ヶ月半早いタイミングの夏休みの恩恵を受けるタイミングにズラしたり、多くの企業とのタイアップCMを流したり、新宿駅を「天気の子 STATION」と題して盛大なタイアップをしたりと「物量作戦」にでるが、それでヒットするなら誰も苦労はしない。
現にスタジオジブリが宮崎駿監督・高畑勲監督から世代交代をさせようと目論んだ宮崎吾朗監督の『ゲド戦記』も米林宏昌監督の『借りぐらしのアリエッティ』も前者が興行収入76.9億円、後者が興行収入92.6億円と100億円に届かなかった。
また両監督の2作目に至っては宮崎吾朗監督の『コクリコ坂から』が興行収入44.6億円、米林宏昌監督の『思い出のマーニー』が興行収入35.3億円と両作品とも前作に対して興行収入は大幅にダウン。スタジオジブリは世代交代に失敗して制作部門は解体に追い込まれた。
また『風立ちぬ』で宮崎駿監督が引退を発表(後に撤回)したことから、日本テレビは細田守監督を「第2の宮崎駿監督にしたい!」という思惑から『バケモノの子』を公開。興行収入70億円以上を狙ったが、結果は興行収入58.5億円と細田守監督史上最大のヒットを記録する一方で期待値を下回った。
その後細田守監督は「この夏一番のヒットを狙う」と日本テレビの宣言のもとで『未来のミライ』を公開するも、興行収入は28.8億円と前作から大幅に興行を落とす厳しい結果に終わった。
つまり勢いのあった時代のスタジオジブリですら興行収入100億円突破は難しく、『君の名は。』が興行収入250.3億円の記録的なヒットとなった後だとしても本来なら「興行収入100億円突破」はそう易々と突破出来る壁ではなかったはずだ。
そういう意味では『天気の子』が興行収入100億円という高すぎるハードルを見事に超えたという事実は本当に凄いと思う。
ただやはり現在のペースでは『君の名は。』の興行収入を抜くのも、興行収入200億円突破も現実的ではない。そうなるとやはり『もののけ姫』を興行収入193.0億円で国内興行収入歴代1位に押し上げ後に、『千と千尋の神隠し』で興行収入308.0億円と更なるヒットを飛ばした宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーの凄さを再認識してしまう。
日本の映画監督で興行収入100億円を超えた監督は宮崎駿監督と本広克行監督と新海誠監督の3人しかおらず、2作連続興行収入100億円を突破した監督は宮崎駿監督と新海誠監督の2人だけ。果たして新海誠監督は3作連続興行収入100億円突破出来るのか、『天気の子』の興行収入がどこまで伸びるかと合わせて注目したい。
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