人気漫画をテレビアニメ化した『波よ聞いてくれ』の第1話が先日放送された。本作は『無限の住人』の沙村広明先生が2014年より『月刊アフタヌーン』で連載を開始した作品。人によっては「このセリフ回し、イカしてるでしょ?」みたいなノリが鼻につくと感じる人もいるようだが、個人的には「セリフ回しは面白いし、酔える漫画だな」と感じていて結構好きな漫画だ。
原作漫画では開幕早々、男に振られたばかりの主人公・鼓田ミナレ(25)が出会って40分しか経っていない男に愚痴を言っているシーンから始まる。ただその愚痴を本領を発揮するかと思わせといて、次のページでは自室のベッドで横たわっているミナレのシーンに切り替わる。どうやら、酔い潰れて記憶を失ってしまったらしい。失恋で消沈している彼女は友人から「泣かなきゃ人間じゃない」と薦められたデミ・ムーア主演の純愛映画『ゴースト』を観て泣いて忘れようとする。ただ彼女が借りた映画は同名タイトルのホラー映画『ゴースト』だった。ただ彼女はその映画が違う映画だとは気付かず、最後まで鑑賞して涙を流し、失恋の傷を癒してしまう。このエピソードが「面白い」と感じた人にはオススメだが、「狙いすぎ」と感じた人にはオススメできない作品だ。
本作はそんな彼女がひょんなことからラジオパーソナリティとしてデビューして、奮闘する姿を描く物語。実は物語冒頭で男に振られたエピソードを愚痴ってた「出会って40分しか経ってない男」は、ラジオ局のディレクターだった。そしてそのディレクターは彼女の愚痴を録音しており、勝手にラジオ放送で流してしまったのだ。その放送を止めるためにラジオ局に向かったミナレだったが、逆にディレクターに言いくるめられて、その場でアドリブトークを披露しなくてはいけない展開になる。彼女が全力で叩きつけた言葉は、世間から高評価を得て冠番組を持つというストーリーだ。ミナレのサバサバした性格から放たれる切れ味の強いセリフの数々は刺さる人には刺さるし、アレだけボロクソに言った元カレに言い寄られれば再びコロッとおちそうになるあ「ダメ人間」な部分も魅力的なキャラクターだ。
ちなみに先日放送されたばかりのテレビアニメ版第1話は4巻に掲載されている「熊と格闘しながら生放送している設定で放送する」というエピソードを序盤に持ってきて、原作未読者に「えっ!?これどういうこと!?」と興味を持たせる展開にしたのは正解だったと感じる。また原作は文字数が多くて1巻分読み終わった後の「疲れ」が凄いが、アニメだとセリフが妥当な勢いで流れていて観ていて気持ちいい。放送前は「ラジオを題材にした漫画だから、声やノリ、テンポがイメージと違ったら嫌だな」と思っていたが、どれもイメージ通りでとても面白かった。
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