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「トム・クルーズ老化問題」を圧倒的な飛行テクニックと映像で説得、36年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』ネタバレ感想

トップガン マーヴェリック:オリジナル・サウンドトラック (通常盤)(特典:なし)

ネタバレ注意

トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』を観た。

 

  • ノースタントアクションがウリのトム・クルーズ

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本作は1986年に公開して大ヒットを記録した『トップガン』の続編。近年のトム・クルーズ映画は「CGに頼らないノースタントアクション」をウリにしており、本作でも飛行シーンを本物で撮影するためにトム・クルーズだけでなく他の出演者も自分の体重の6〜8倍の重力に耐えるためのトレーニングを3〜5ヶ月間に渡り行ったという。更に飛行中の役者の顔を捉えるためにコックピットには6台のIMAXカメラを設置して、その操作は役者に任されていたという。

メイキング映像を観るだけで興奮出来る本作だが、最近は映画業界のセクハラ・パワハラに注目が集まっており、「果たしてトム・クルーズの撮影スタイルは今の時代どうなのだろうか…」などと考えることもあった。現に2017年公開『バリー・シール/アメリカをはめた男』の撮影中には危険な撮影が繰り返された結果、クルーが2人死亡しており、遺族は「トム・クルーズにも責任の一端がある」と主張しているという報道もあった。

トム・クルーズも今年で還暦。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の撮影中に骨折をするトラブルもあったが、今後も観客のトム・クルーズに求めるアクションのハードルは上がる一方で、彼の肉体は加齢によって衰えるばかりで、いつの日か最悪の結果を招くのではないかという怖さがある。

 

 

  • 今年で還暦、トム・クルーズの老化問題

そんな想いも微かに胸に残しながら本作の鑑賞を始めると、冒頭からトム・クルーズ演じるマーヴェリックが「マッハ10」を出すために無理をするという展開が描かれる。ただマーヴェリックは「マッハ10」を出しても満足しない。更にその上の記録を目指して飛び続けた結果、機体が限界を迎えて墜落する。「これは狙っているのだろうか?」、そんなことを思って観ているとアイスマンの要望によりマーヴェリックが「トップガン」に教官として戻ることが決定。「朝鮮戦争も冷戦も20世紀、つまりは前世紀の出来事だ」とする教え子の若者たちは、酒場でマーヴェリックを教官と知らずに「おじさん」扱い。マーヴェリックもそれを笑って受け入れるが、冒頭のバイクを乗りこなしている時の笑顔とは違い、何処か情けない。つまりは本作、キムタク『BG』よろしくトム・クルーズの加齢を意図的に感じさせる作りになっている。2020年11月にNHKBSでは『トム・クルーズ-永遠の若さを追求して-』というドキュメンタリーも放送されていたが、本作は36年ぶりの続編故に、老化問題に向き合う絶好の作品だったのかもしれない。

 

※『トップガン マーヴェリック』の公式アカウントがノリノリで宣伝していた『トム・クルーズ-永遠の若さを追求して-』は「サイエントロジー」の件などを絡めながら「興行収入が落ち始めたトム・クルーズは長年続編をやらないとしてきた『トップガン』の続編に手を出した」「彼が劇中で走り続ける姿は老化に逆らっているようだ」「ラストは『ザ・マミー』の霊安室で目が覚めるトム・クルーズ演じるニックの映像」とトム・クルーズに対してネガティブなイメージを与える海外のドキュメンタリー番組

 

 

  • 圧倒的な飛行テクニックと映像で説得

本作では1作目でマーヴェリックの相棒であり、不幸な事故により死を遂げたグースの息子が登場する。彼は父親の死をマーヴェリックの責任だと考えて、未だに彼を許していない。教え子から「おじさん」扱いされ、グースの息子との良好な関係も築けず、更には後ろ盾となっていたアイスマンの死によって厄介払いされるマーヴェリック。そんなマーヴェリックが皆を納得させるのは、圧倒的な飛行テクニックによって「結果を出す」という至極シンプルな方法だった。そしてそれは「果たしてトム・クルーズの撮影スタイルは安全的にどうなのか…」などという想いを少なからず感じていた自分含めた観客にも、CGや演技だけでは表現できないであろう緊張感溢れる映像によって「やっぱりトム・クルーズの映画はこうじゃなくちゃ!」と説得される。それは一時的なエモーショナルに流される判断で後悔する日が来るのかもしれないが、この興奮には嘘をつけない。自分は明確にトム・クルーズが危険なアクションにノースタントで挑んだ結果生まれる映像を求めているのだと… そしてトム・クルーズはその期待に応え続けてくれる。そんなことを感じさせるクライマックスの戦闘描写だった。

 

※「訓練期間→本番」の流れも映画制作の過程とメタ的だし、マーヴェリックの「飛ぶことは職業じゃない。オレそのものだ」みたいなセリフもトム・クルーズの映画人生そのものでグッとくる

 

 

  • 最後に…

前作同様のオープニングに始まり、夕陽と車をバックに美女とキスをした後、彼女との飛行シーンで終わる本作。ラストのクレジットも前作と同様なスタイルを取っていた。古き良きハリウッド映画を観ている気分に浸れた。エンディング中は場内はすすり泣く声がアチコチから聞こえていて多福感溢れる劇場体験だった。この幸せが途切れることがないことを祈る。

 

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