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三谷幸喜脚本『鎌倉殿の13人』、リアリスト・義時にだけ「鈴の音」が聴こえなかった理由は「神仏」頼みの頼朝との対比か

(25)「天が望んだ男」

NHK・大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で頼朝が死亡(正確には昏睡状態か)した。

 

頼朝が馬から落ちた際に、政子など頼朝と関係が深い者たちに「鈴の音」が聴こえ、何かを感じ取るという演出がされた。一方で本作の主人公・義時だけは「鈴の音」が聴こえた演出がされておらず、SNSでは「直前に義時が頼朝に水を渡していた」ことから、「その水の中に毒を…」と憶測が流れた。しかし、この件に関して脚本家の三谷幸喜はインタビュー内で「暗殺説」を明確に否定している。

 

 

では何故、頼朝の側近中の側近である義時にだけ「鈴の音」が聴こえなかったのか?SNSでは「義時は亡くなる直前の頼朝と本音で語り合い、既にお別れは済んでいるから」という説が持ち上がっている。ただ個人的には、そうであっても別に「鈴の音」が最後に聴こえたっていいような気もする。

 

三谷幸喜はインタビューで義時について以下のように語っている。

 

今回の「鎌倉殿の13人」の時代では、人々が神様を身近に感じていたこともあり、神話性のようなものを感じています。(中略)その中で、義時は最もドライで現実的な登場人物だなと思っています。何でもありの混沌とした時代の中に一人だけリアリストがいる感じがあり、義時を主人公にして成功だったなと思います。

三谷幸喜が語る、源頼朝の“最期”の描き方…演じる大泉洋への賛辞も「彼以上にこの役を演じきれる人はいなかった」(4/5) | WEBザテレビジョン

 

 

振り返れば頼朝は初登場時から小さな仏像を前に祈りを唱えており、大姫が亡くなった際にも範頼からの呪いだと逆恨みして、死が近づいていると予感すると縁起の悪いことを避けようと躍起になった。また自身が死を回避し続けることに関しても「天は必ず私を生かしてくれた。」とやはり「神仏」頼り。最後は「神仏に恐れてビクビクするのはやめよう」と決めるも、タイトルは『天が望んだ男』とそういう演出がなされている。頼朝は気にしすぎな感じもするが、あの時代はそれが普通だったのだろう。

 

 

ただ三谷幸喜にとっては、そんな時代でも義時だけはリアリストだったという認識。となれば、「鈴の音」などという「神仏」をベースとした「虫の知らせ」などリアリスト・義時には聴こえなくて当然。ここまでの時代を作った「神仏」頼りの頼朝とこれから先の時代を作っていくリアリスト・義時での対比だったのかもしれない。

 

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