陰謀論肯定型SFディザスター映画『ムーンフォール』ネタバレ感想、ローランド・エメリッヒ監督の関心は「地球」ではなく「宇宙」か

ムーンフォール(字幕/吹替)

ローランド・エメリッヒ監督最新作『ムーンフォール』を観た。

 

  • エメリッヒ最新作がまさかの配信スルー…

本作はディザスタームービーの巨匠であるエメリッヒ監督が「月が地球に落ちる映画を作る」ということで制作発表段階から話題となっていた作品。しかしアメリカでは今年2月に公開されるも批評的にも興行的にも大コケして、日本では配信スルーとなった。そのため日本のSNSでは「エメリッヒ作品は映画館の大スクリーンで大音響で観てこそなのに…」と残念がる声が多く投稿された。ただ配信元の「Amazon Prime Video」は地上波のテレビスポットをバンバン打ってたり、宣伝キャンペーンとして本作のためだけの「ドローンショー」を計画していたりと謎の力の入れよう。ただその「ドローンショー」を雨天中止という運のなさでYouTubeにリハーサル映像が公開されるなど、日本でも配信前から本作の「持ってなさ」を存分に発揮していた。

 

以下ネタバレ

 

 

  • エメリッヒ監督の気持ちは地球ではなく宇宙へ

2012 (吹替版)

インデペンデンス・デイ:リサージェンス (吹替版)

そんな本作だが製作費は1.4〜1.5億ドルと報じられており、インディペンデント映画としては過去最高レベル。また2017年公開の『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の製作費1.65億ドルとそこまで大きな開きがある訳ではない。しかし地球でのディザスター描写はかなりショボめ。過去にライムスター宇多丸さんがエメリッヒ映画のことを「事務的処理の連続」と揶揄していたが、本作は正に「気持ち挟んでおきました」と言わんばかりのヌルめの描写が続く。

 

 

一方でCGに力が入っているのは宇宙での描写だ。本作は「月は建造物」という「陰謀論」が「真実」で、月に住んでた人類の祖先が作ったAIが襲ってくるという設定の物語だが、その描写はそれなりに見応えあり。エメリッヒ監督は2009年公開の『2012』の時点でディザスター映画は「やりきった」として「もう撮らない」と意思表示していたことを踏まえると、ディザスター描写は資金集めのために自身のブランドイメージを最大限に使った戦略で本作で本当にやりたかったのは宇宙での描写だったのではないか、という気もする。もう誰もあまり覚えていないだろうが打ち切りになった『インデペンデンス・デイ』シリーズの3作目の構想を「宇宙での冒険を描く」とエメリッヒ監督は語っていたので、最早監督の気持ちは地球ではなく宇宙に向かっていたのかもしれない。そう思うと本作が三部作構想の1作目に過ぎないというのは非常にワクワクする話ではあるが、残念ながら続編が作られることはないのだろう。

 

 

  • 最後に…

本作は「誰からも話を聞いてもらえなかった自称博士が地震の説を立証して、尚且つ地球を救う」という感動胸熱ストーリーになっているが、近年SNSによって可視化された数々の陰謀論者のことを踏まえると素直に楽しめない時代になってしまったな、と感じた。

 

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