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【自伝的映画】宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』の塔の中のファンタジー世界がセルフオマージュばかりな理由

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宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』が大ヒット公開中だ。

 

本作の感想の中でよく見るのが「宮﨑駿監督の過去作のセルフオマージュのような描写が多い」という指摘。中には「AIに過去の宮﨑駿監督作品を学ばせて作らせた作品みたい」という趣旨の投稿も確認された。確かに本作は塔の世界の中のファンタジー描写に突入して以降、その気は強くなっていったように感じた。また鈴木敏夫プロデューサーが「本作は作画監督が違うからいつもと絵柄が違う」という趣旨の話をインタビューでしていたが、そういう絵柄のちょっとした違いも「AIに作らせた模造品」っぽさの一因になってるのではないか、とも思う。当初自分はこのセルフオマージュ的な描写の多さは「晩年の作品だから」「塔の中の描写は宮﨑ワールドのメタファーだから集大成的な描写になってる」みたいな解釈していた。

 

 

作品は、疎開や空襲体験など宮崎監督の自伝的要素を盛り、不思議な屋敷の塔に主人公の少年が入り込む冒険ファンタジー。

宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」公開 予告編もCMも宣伝もなし:朝日新聞デジタル

ただ本作の主人公・眞人のモデルは少年時代の宮崎駿監督自身だ。そう改めて認識してあのセルフオマージュ的な描写の意味を捉え直すと、アレらの描写は「宮﨑駿監督の過去作品の寄せ集め」ではなく「幼少期の宮﨑駿監督の体験が後の映画に活かされた」ということを表していたのではないか、と感じた。これは今年公開のスピルバーグ監督の自伝的映画『フェイブルマンズ』と同じ構造である。ただファンタジー度合いが高いので、『フェイブルマンズ』みたいにストレートな受け取り方を困難にさせてる面があるのではないか、と感じた。

 

 

おそらく実際の宮﨑駿監督にとって眞人がファンタジー世界に入り込んでしまったような経験が幼少期に読んだ本とかなのだろう。そしてそうした読書経験等から宮﨑駿監督は「(劇中では石で表現されていた)何か」を持ち帰った。勿論、そうした幼少期の経験は劇中で語られていたように少しずつ忘れ去ってしまうのだろうが、そうした幼少期の経験は『となりのトトロ』のメイちゃんや『千と千尋の神隠し』の千尋同様に忘れてしまったとしても、今の自分にとって欠かせない経験であることに変わりはない。

 

 

ただ後半のファンタジー世界の描写が過去作と似てる分、どうしても比べてしまって「うーん、これも年齢の問題なのかな…」と思わされてしまうのが悲しいところでもある。

 

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