宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』が絶賛公開中だ。
作品は、疎開や空襲体験など宮崎監督の自伝的要素を盛り、不思議な屋敷の塔に主人公の少年が入り込む冒険ファンタジー。
本作の主人公・眞人は宮﨑駿監督本人がモデルとされている。劇中で眞人は本作のタイトルにもなっている同名小説『君たちはどう生きるか』を読み涙を流す描写があるが、実際宮﨑駿監督自身も少年時代に同書を読み感銘を受けたとインタビューなどで述べている。
一方で本作は眞人が迷い込む塔の中の世界を維持している白髪の老人もまたSNSなどでは宮﨑駿監督がモデルなのではないか、と指摘されている。その理由は白髪の老人が12個の積み木でギリギリ維持している塔の中の世界が「宮﨑駿監督が本作含めた長編作品12本でスタジオジブリをギリギリ維持している」ことのメタファーなのではないか、と読み取れるからだ。そしてこの白髪の老人は眞人が「血の繋がった子孫」であることを理由に自分の「後継者」として積み木をもう一個積み重ねることで「世界を維持してくれ」と懇願する。
【追記】2回目観たら大叔父が眞人に「積み木を一個加えてくれ…」と頼んでた際の積み木の数は13個ではなく、13個の積み木は悪意の石の方だったので、「積み木の数が〜」みたいな私見は見当違いだったかも…
【追記2】『【宮﨑駿復出祕辛番外篇】動畫師「1個動作」遭宮﨑駿退貨! 本田雄曝數字背後藏深意 - 鏡週刊 Mirror Media』によると宮﨑駿監督は作画監督が13個以上の積み木を描いた際に「元の数に戻してください」とやり直したを命じたとしており、13かという数に拘りはあるようだ
ここで連想せずにはいられないのが、宮﨑駿監督の後継者として鈴木敏夫プロデューサーにアニメ制作に引き込まれた息子・宮崎吾朗監督の存在だ。つまりこのシーンはメタ的な視点を通せば宮﨑駿監督が自身の息子に「自分の後継者になって、新作を作ってスタジオジブリを維持してくれ」と願っているようにも見える。ただ眞人は後継者の話を断り、塔の中の世界は崩壊する。
そのため個人的には本作は宮﨑駿監督から息子・宮﨑吾朗監督への「オレの後継のことは気にしなくてもいいから自由に生きろ!」とエールを送り、また彼を後継者の呪縛から解放してあげたようにも見える。勿論これは「もうアニメ映画は作らなくていい」とか「スタジオジブリから独立しろ」みたいな意味ではない。本作の製作にも関わっていた宮崎吾朗監督が次にどのような作品を作るのか、俄然楽しみになるような作品でもあった。
- 【追記】
「君たちはどう生きるか」の暗号(小原篤のアニマゲ丼):朝日
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2023年7月24日
→『孫のために作っている』なんてことを鈴木敏夫Pが言ったそうだから、自分と同じく『描く』『創る』という道へ進んで欲しいけど『宮崎駿の孫』として生きるような人生を選んじゃいけない、と伝えたいのかも https://t.co/1KowcN7OTx
「孫へのメッセージ」という視点もあるのかも。
- 関連記事