「地球の支配者は人類か恐竜か共存か」、『炎の王国』で課した問いを「イナゴ」で煙に巻く『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』

Jurassic World Dominion (Original Motion Picture Soundtrack)

ネタバレ注意

シリーズの壮大な終幕であるはずの『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』が日本でも公開されたが、SNSの反応を観てると「求めてたのとは違う…」と残念がる感想が多い印象を受ける。

 

 

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それもそのはず。多くの観客は前作『ジュラシック・ワールド 炎の王国』のラストで人間社会に解き放たれた恐竜たちがどうなるなるのか、CMのコピーを引用するなら「地球を支配するのは人類か恐竜か それとも共存か」という自らが設定した問いに対するシリーズの総決算となる答えを求めて劇場に向かった。自分を含めて観客は覚悟してたはずだ。『ロスト・ワールド』の終盤を遥かに超える日常を破壊する恐竜描写や島の中に閉じ込められてるうちは「人間が蘇らせた命、殺すのは可哀想」という一定の理解を得られていた世論が「殺せ」一色に移り変わっていき実際に恐竜の駆逐が始まる世界の様子、そしてその残酷な結果をみて自身がボタンを押して恐竜を解放してしまったことに対する責任と人間たちに殺されていく恐竜と自身を重ね合わせて葛藤するクローンの少女の姿を… 

 

 

ジュラシック・ワールド/炎の王国 (吹替版)

『ジュラシック』シリーズはこれまでも「絶滅したはずの恐竜を人間が蘇らせるのは如何なものか」的な問いは常に投げかけられてきた。その一方でラストのメインテーマと共に映し出される恐竜の姿を観ると「まー、なんかいいかな」みたいな気持ちにさせられてきた。でも『炎の王国』は違った。あのラスト、そしてマルコム博士の「ようこそ、ジュラシック・ワールドへ」というセリフからは「もうこの問題から逃げさせないぞ」と徹底的に向き合う姿勢を感じさせた。しかし『新たなる支配者』で描かれたのは「人間社会に解き放たれた恐竜と人間の関係」という問いに対する誠実な物語ではなく「遺伝子操作されて巨大化したイナゴによる食糧危機」という面倒な問いから全力で煙に撒かれるようなストーリーだった。そして物語のラストで取って付けたかのように「共存していくしかない」と結論付けられる。そこには観客に「人類は恐竜と本当に共存ができるのか」と当事者意識を持って考えさせる余裕はない。何故なら本作には一般人視点が殆どないからだ。

 

 

過程をすっ飛ばして提示された結論には説得力はなく、多くの観客は納得の出来ない消化不良の物語と認識した。また個人的には「恐竜は共存でイナゴはサクッと駆逐かよ」という気もした。「シリーズ29年のラストがこれか…」とガッカリしたが、どうやら『ワールド』シリーズの完結でフランチャイズはまだまだ続くらしい。

 

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