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【ネタバレ感想】「『学校が全てじゃない』とか言われてもさ…」とか思っちゃうタイプが原恵一監督最新作『かがみの孤城』を観て泣いた

映画チラシ『かがみの孤城』5枚+おまけ最新映画チラシ3枚  

原恵一監督作品『かがみの孤城』を観た。

 

  • 「学校が世界の全てじゃない」へのスタンス

かがみの孤城

原作は未読。ストーリーは学校に行ってない中学生が鏡の中にある城に集められて、願いが一つ叶う鍵を探す物語。まず本作の感想に入る前にこの手の「学校が世界の全てじゃないよ」系のメッセージを放つ作品や著名人に対して毎回思うのは「これは誰かの救いになる」一方で「誰かをより孤独に追い込んでるんだろうな…」ということ。最近はSNSとかでより等身大の「学校行ってないけど何とかなった」系の話が聞けるのかもしれないけど、基本メディアを通してこの手の発信をする著名人は自分は学校にちゃんと行ってたか、もし行ってなくても一芸に秀でてるか、もしくは高校まではともかく大学からは結構な難関校に入学してたりと、才能もなく勉強も出来ない平凡型からすると何か寄り添ってくれてる風に見せて突き放されてる感というか、正しいんだろうけど綺麗事言われてる感が半端ないな、くらいのことは思ってた。だから個人的に何年か前に伊集院光さんがその手の発言に対して「別にお前が俺のケツ拭いてくれるわけでもねぇじゃん」みたいなことを学生時代に思ってた、的な話の方が遥かに共感した。

 

伊集院光、「学校が辛いなら図書館へ」に共感する識者に垣間見える自己評価の高さにイライラ「スゲェ自信だな、お前」 | 世界は数字で出来ている

 

以下ネタバレ

 

 

  • ミステリーとしての構成はバレバレだが…

で、そんな人によっては「害」と認識されても文句も言えないような歪んだスタンスの自分が私的オールタイムベスト映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の原恵一監督最新作ということで本作を劇場鑑賞した結果、号泣。ミステリーとしてはアキの好きな紅茶と喜多嶋先生の好きな紅茶が被ってる時点で「アレ?」と思い、中盤で「みんな学校に行ったのに会えなかった、それどころかそんな生徒は存在しなかった」「よく考えたら苗字を知らない人も多い」「パラレルワールドという推理は間違ってる」「有名ゲームの映画化の有無」みたいな情報が明らかになった頃には「あー、もうそういうことね」と大体の話は分かっていたが、それでもクライマックスシーンは泣けた。

 

※高山みなみさん演じるマサムネが「真実はいつも一つ!」とコナンのセリフを発するシーンは場内がザワついた

 

 

  • ファンタジーに込めたメッセージ

本作は色々な時間軸の同じ中学に通う学校に行ってない子供たちが集められたという設定で、その中のメンバーの1人であるアキは将来的に主人公のこころらのサポートをするオープンスクールの喜多嶋先生と同一人物だ。アキは明るく活発な性格だが、学校に行っておらず、彼氏には別の女ができ、同居する義理の父親に襲われそうになったりと何処にも居場所がない存在。それ故にアキは城のルールを破り、その代償として狼に食べられる。しかしそこでアキを救うのが鍵を見つけたこころだ。こころはアキに「私たちは助け合える!私が中学生の時代にあなたは大人になって生きている!」的なことを言って彼女を救い出す。こころが中学生の頃のアキを救ったことで、その後大人になれたアキがオープンスクールの先生として中学生のこころを救うという構成は見事。「いつの時代だって自分みたいに苦しんでる人はいる」と「私たちは助け合える」的なメッセージを原恵一監督個人の想いも含めてファンタジーとして上手く表現出来ていたように思う。またこのファンタジー設定故に「今ちゃんと余裕ある大人をやってる人に『自分もそういう時代あったよ』的なことをしたり顔で言われる子供の頃の不快感」みたいのが感じられない、それぞれが対等な立場で描かれながら、それでいて子供同士の世界観に閉じこもるのではなく大人が子供を救うことの大切さと子供に対して「すべての大人が敵な訳じゃないんだよ」というメッセージまで織り込めてるのは素敵だな、と感じた。

 

※正直最初に喜多嶋先生がこころに「先生も同じ中学に通ってたんだよ」とか言った時は警戒心MAXで不信感しかなかったけど、全てが分かった後の同じセリフはメチャクチャ沁みた

 

 

  • 最後に…

一方で「アキは城での記憶を無くした上で現実世界に帰ってその後ちゃんとやっていけたの?」「あの義理の父親どう考えてもヤバそうだったんだけど…」感は否めない。ここら辺は原作を読めばより深掘りされてるのだろうか… ただそういうのは一旦置いといて自分の人生においてトップクラスに映画館で泣いた映画となった。

 

かがみの孤城

 

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