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舞台は関東から関西へ!前作が関西ウケしなかった理由が分かる関東視点の『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』ネタバレ感想

『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』を観た。

 

  • 舞台は関東から関西へ!

『翔んで埼玉』は魔夜峰央氏による日本の漫画。ただ作者が「所沢から横浜に引っ越して埼玉県を悪く描けなくなった」という理由で未完となった作品。そんな未完漫画を千葉県出身の武内英樹監督によって「埼玉と千葉が対立した末に共に協力して東京に攻め込む物語」として2019年に実写映画化。興行収入37.6億円の大ヒットを記録した。ただ本作の興行収入は埼玉県ではあの『タイタニック』を超え、関東圏でも口コミでロングランヒットとなったが、関西圏では鈍かった様子。そのため続編では「関西もディスって欲しい」との要望に応え、関西の埼玉県ポジションである滋賀県を舞台にした作品が制作されることになったという。

 

 

  • 前作が関西でウケなかった理由を実感

そんな経緯で制作された続編、個人的には「前作は最高に面白かったけど、今回は微妙…」みたいな感じ。これはこの手のコメディ映画にありがちな「続編によるパワーダウン」の面も否めないが、それと同時に自分が神奈川県出身で大学からは東京という埼玉県には特に思い入れのない関東圏の人間だから、というのも関係しているように思う。というのも本作の舞台は前述したように滋賀県。そのため埼玉県を筆頭に東京都、神奈川県、千葉県の一都三県のネタを展開した前作に対して、本作は関西圏のあるあるネタを繰り広げられる作品となっている。こうなると埼玉県に思い入れがない神奈川県出身の関東圏の人間としては前作は「崎陽軒のシウマイ」が出てくるだけで超面白く感じたのに対して、今回の関西ネタは身近ではない分「あー、そういえばこの県(府)はこれが有名なんだよね」とか「あー、そういえばこの県(府)はこういうイメージあるよね」的なちょっと引いた見方となった。これは関東圏の人間だと関西は「観光スポット」なので、「あるあるネタ」として消費しにくかった面もあったかもしれない。こうなると前作が「関西でイマイチウケなかった理由」が肌感覚として実感できるし、「続編は関東圏では埼玉県以外だと前作ほどの評価は得られないだろうな…」という気持ちにもなる。逆に関西圏の人間だと本作の方が身近な分、評価は高くなるかもしれない。

 

 

  • 全国区に認知度があるネタは…

そんなこんなで自分が観た劇場での笑い声は前作に対して少なめな印象を受けたが、実は滋賀県発祥だった「とび太くん」ネタや前作にもあった出身地対決は認知度が全国区のネタだけあって大ウケしていた。「とび太くん」の犠牲に対しても「多くの人を守るために作られた物だから」というエクスキューズが付いていたのも良かった。また前作がヒットしたことで予算が増えたからなのか、『チャーリーとチョコレート工場』のダンスネタや阪流ブーム、タワー対決などCGを駆使して「全力でバカやってます」みたいなノリも好感が持てた。ただ個人的にはギャグのテイストとしても「東京テイスティング」や「しらこばとの絵柄入りの草加煎餅の踏み絵」などジワジワ笑わせにくるネタの方が好きだったりはした。

 

 

  • 最後に…

伊勢谷友介演じる千葉解放戦線リーダの姿が見えないことに対して「触れちゃいけない」ことを強調するネタはこの手の問題の処理方法として笑えたが、その後の物語が「白い粉」を軸に展開するため受け止め方に若干戸惑った。最後に「大阪植民地化計画」を「多様性」の視点などから散々否定した上で、「次の1万円札」という時事ネタで「全国埼玉化計画」が着実に進んでいることを示しながらも、ラストは他県の夢の国へ向かうオチは本作の落とし所として最高だった。欲を言えばあの音楽を盛大に流して欲しかった。

 

翔んで埼玉

翔んで埼玉

  • 二階堂ふみ
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