エアリスの運命のネタバレ注意
『FF7リバース』のエアリスの運命について丁寧に振り返ることで状況を整理していきながら、「白フィーラー」などについて考察していこうと思う。
- 壁を越えなかった先で待っていたのは…
※1 クラウドがセフィロスの刃を止めると虹色が画面を覆う
※2 ティファやバレッド視点では床にエアリスの血が…
まずクラウドは黒いフィーラーの作った運命の壁を乗り越えてエアリスの元へ向かい、セフィロスの刃を止めて弾き返す。まずここで「エアリスを救った世界線」が誕生したといえる。おそらく作品内で「虹色」が生じているシーン(※1画像)は「世界の分岐」が生じていることを示しているのだろう。ここで場面が他のメンバーの視点に変わり、黒いフィーラーの作った運命の壁が消えたことでクラウド以外の仲間たちがエアリスの元へ向かい出す。すると場面は再びクラウドの視点に戻り、画面に緑のノイズが入ると大量の血が流れてきて、エアリスが倒れて致命傷を負ったことが示される。ここからは「エアリスを救った世界線」と同時にオリジナル版と同じ「エアリスを救えなかった世界線」も存在していることが指摘できる。重要なのはこのタイミングで合流する黒いフィーラーの作った壁を乗り越えていないクラウド以外のメンバーが目撃するのは血が流れたエアリス(※2画像)であることから、クラウド以外のメンバーは黒いフィーラーの作った壁を乗り越えなかった結果、「エアリスを救えなかった世界線」に辿り着いたことが分かる。つまり黒いフィーラーの作った壁を乗り越えたクラウドだけが「エアリスを救えた世界線」に辿り着いたことになる。
- 「白フィーラー」と「虹色」
※3 白フィーラーと虹色に囲まれるクラウドを見る他メンバー
本作ではクラウド以外のメンバーの視点においてティファが一瞬「エアリスを救えた世界線」を幻視する描写含めて一貫して「エアリスを救えなかった世界線」にいることが示されている。一方でクラウドの方はシーンによって「エアリスを救えた世界線」と「エアリスを救えなかった世界線」が並行して描かれている。そのためクラウド以外のメンバーが白フィーラーに囲まれたクラウドを見ているシーン(※3画像)は同じ世界線を一つの画面に収めているのではなく、「エアリスを救えた世界線」のクラウドと「エアリスを救えなかった世界線」のクラウド以外のメンバーという2つの世界線を一つの画面に収めているシーンの可能性が考えられる。「世界の分岐」を示す「虹色」が使われていることを踏まえるとクラウド以外のメンバーの目線の先にあるクラウドとエアリスは現在「生存と死亡で分岐した世界が展開されている」ことを表す意味もあるのだろう。
- 壁を越えたクラウドと越えてない仲間の合流
※4 クラウドは白フィーラーを通過してエアリスの死体と対面
こうなると「何が何やら…」と頭の中が混乱するし、仮に「エアリスを救えた世界線」と「エアリスを救えなかった世界線」を受け入れるにしても、それなら何故本作のエンディングはクラウド以外のメンバーはエアリスの死を悲しむような姿を見せているにも関わらず、同じ世界線にいるはずのクラウドはエアリスの死を悲しむ様子がなくまるでエアリスが生きているように振る舞っているのかという大きな疑問が生まれる。
この疑問の答えを考えた結果、個人的にはラスボス戦で複数の世界が混じり合い、クラウドが複数の世界線を行き来した結果、最終的に「黒いフィーラーの作った壁を乗り越えてエアリスを救った世界線のクラウド」が「壁を乗り越えていない仲間たちのいるエアリスを救えなかった世界線」に合流したからではないか、という仮説に辿り着いた。この仮説を踏まえた上でラスボス戦直後のエアリスとのやり取りを見返すと「行こう みんなが待っている」というエアリスのセリフも運命の壁を越えたことで他の世界線に行ってしまったクラウドをみんなのいる世界線に戻すことを意味するセリフだったと受け取ることも出来る。
仮に「壁を乗り越えたエアリスを救えた世界線のクラウド」が「壁を乗り越えてない仲間のいるエアリスを救えなかった世界線」に移動したのだとすると「じゃあ、なんでクラウドはエアリスの死体を見て驚いたり、悲しんだりしないんだよ!おかしいじゃないか!」という新たな疑問が生じる(というか、世界線の移動云々に関係なく生じている)が、クラウドがエアリスと別れてエアリスの死体と見る直前に白フィーラーが現れて、クラウドを覆ってしまう(※4画像)。そしてその後、虹色の画面でエアリスが目を覚ますシーンを見ていることから、白フィーラーによって「エアリスは生きている」という幻覚を見せられる、もしくは白フィーラーを通して「壁を越えてエアリスを救った世界線のエアリス」とやり取りしているけどそれを移動してきた世界線のエアリスと混同している、などが生じて水葬したこととか「エアリスが死んだ」という本人にとって辛い要素はニブル山の回想同様に記憶の奥に封じ込めてしまった、みたいな見方も出来るのではないか、と感じた。
- 最後に…
最後に前作『FF7リメイク』の際に「フィーラーはオリジナル版の展開を変えて欲しくない原作厨!」みたいな考察を多くの人が発信したが、その意味で今回の『FF7リバース』に登場した白フィーラーは「エアリス生存派のメタファー」と捉えることが出来る。
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