NHK・朝ドラ『ちむどんどん』の撮影は終わり、物語も終盤に差し掛かっているが、SNSでの主人公・暢子に対する好感度は未だに低い。
- 「恋愛編」は愛が身を引いて決着
個人的にその理由は「暢子が受け身キャラ故に成長が感じられない」からではないか、と思う。例えば「恋愛編」では「暢子が初めて好きになった相手には既に結婚を約束した相手がいた」という壁が設定されていた。しかしその壁の乗り越え方は和彦の相手だった愛が身を引くことによって解消され、そのまま流れるように暢子は和彦の付き合うことになる。勿論、愛が身を引いた背景には沖縄から上京して自分のやりたいことをしている暢子の姿に影響を受けたから、という理由があったが、何となく「暢子は邪魔者が消えてラッキーだったね」くらいの話に見えてしまう。
- 和彦の母・重子への「闇市料理」は房子案
しかもその後の和彦の母・重子に結婚を許しを得るエピソードでも「暢子は当初自分の得意分野である弁当や沖縄料理、イタリア料理で心を開いて貰おうと一方的なアプローチするも、重子には受け入れて貰えず、考えた末に彼女のバックボーンに沿った闇市料理を提供するに至った」という話にすれば、暢子の失敗と反省、そして成長も描けたはずだが、実際は沖縄料理やイタリア料理のアプローチ作戦は第三者による妨害で失敗し、暢子の失敗とは描かれなかった。そして闇市料理を提供する案もフォンターナのオーナー・房子からの提案と暢子からの発案ではなく、更に弁当作戦も事実上重子に通用していたことから「恋愛編」に続いて「暢子の問題は周囲が勝手に解決してしまった」感があり、ここでも暢子の成長は感じられなかった。
- 自らの沖縄料理店の問題も勝手に解決
そして暢子が自らの沖縄料理店「ちむどんどん」を開店した後も「従業員不足」と「経営難」という問題が生じたが、前者に関しては妹・歌子の協力と矢作の業務以上の労働によって解決。また後者の打開策も妹・歌子による「沖縄そばの豚が違う」という指摘とニーニーが働く養豚場の娘・清恵が皮付き豚を偶々持ってきてくれるというこちらも「受け身」な解決法。しかもその皮付き豚は店の近所の肉屋で販売してたり、清恵は「休業中」の張り紙を無視してお店に客とした入ってきたりと色々とツッコミ所の多い展開。こうした脚本の雑さと主人公の成長を感じさせない展開の数々が本作への不満意見を増長させているように感じる。
- 最後に…
「遠い島からやってきた女の子が一人ぼっちで冒険するうちに、船に乗り込む仲間が増えていく」、暢子の周りに彼女にとって都合のいい人ばかりが集まって、物事がとんどんポジティブな方向に進むのは朝ドラヒロインの補正故か…