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NHK・朝ドラ『ちむどんどん』、営業再開した暢子の沖縄料理店の「知らないお客さんで満席」達成にイマイチノれなかった理由

(114)「にんじんしりしりーは突然に」

NHK・朝ドラ『ちむどんどん』では暢子が経営する沖縄料理店の営業が再開をして、繁盛する展開が描かれたが、個人的に「ご都合展開」の連続と脚本の雑さを感じてイマイチノれなかった。

 

  • 休業に追い込まれた暢子の店の打開策は…

暢子の経営する沖縄料理店「ちむどんどん」はオープン当初こそ客に恵まれたが、時が経つにつれて客足はどんどん減り、最終的に休業にまで追い込まれた。その要因は「リピーター客の少なさ」と「口コミで評判が広がらなかったこと」にあったように思う。そしてこの二つの要因を何故クリアできなかったか、と問われれば、それは夫である和彦の母・重子の「前に食べた沖縄そばの方が美味しかった気がする」という見解に対する暢子の「東京の人の舌に合わせた」という釈明を踏まえれば、沖縄料理の味の魅力そのものを発揮できていなかったから、ではないかと推測される。そのため劇中では看板メニューである「沖縄そば」の改良や「メニュー名を東京向けから沖縄本来の料理名に戻して、説明を充実させる」などの措置が取られる。ただ「沖縄料理」の改良シーンは暢子が重子から指摘をヒントに自らの考えで改良するみたいな感じではなく、妹・歌子の「豚が違う」という問題意識とニーニーが働く養豚場の娘が偶々皮付き豚を待ってきてくれるというメチャクチャ「受け身」な展開で解決。しかもその皮付き豚も近所の精肉店で販売していることから、暢子のリサーチ力の低さ等を裏付ける展開にもなっており、改良後の「沖縄そば」を食べた後の「久々にちむどんどんする〜」という言葉には何とも言えない気持ちにさせられる。暢子の地元・沖縄への想いを存分に描ける展開だったので、勿体なさも感じた。

 

 

  • 「ご都合主義」としか思えない雑な展開

そして営業再開初日は「いくら待っててもお客さんが来ないから歌子が客引きをする」というシーンが描かれるが、何というか「営業再開初日にチラシを配ったりして客引きするでもなく、3人仲良くお店の中でただ客を待ってるだけでどうにかなるかと思ってた感」がちょっとシュールさを醸し出している。ただそんなのは序の口でその後は営業再開後の初めてのお客さんがようやく入り、食べ終えて店を出るとその直後から客引きなしでゾロゾロと新規のお客さんが来店するという「ご都合主義」にも程がある展開が描かれる。普通は営業再開後に初めて来てくれたお客さん以降はその日は結局客足は伸びず「やっぱりダメか…」と暢子たちが諦めかけた辺りで、あのお客さんから店の美味しさを聞いた新規の客が入り、そこから口コミでどんどん客足が広がり、リピーター客も増えて繁盛するみたいな流れになるはずだが、本作はそうしたプロセスは描かれない。1人目の客を引っ込み思案の歌子の勇気ある客引きエピソードとして消化してしまえば、あとはもう自動的にお客さんがどんどん入ってきてしまうのだ。これでは最早、お客さんが増えた理由が本当に「沖縄そば」やメニュー表の改良故だったのか不明だし、「何だかな…」という展開だ。

 

 

  • 「知らないお客さんで満席」達成も…

そして極め付けはフォンターナのオーナー・房子がお店に訪れてくれる条件であった「知らないお客さんで満席にする」を達成するシーン。製作陣は「物語の最高潮」くらいのつもりで放送しているのだろうが、何故かカタルシスはなく、逆にモヤモヤさせられる。これはおそらく「知らないお客さん」の定義が曖昧だったからなのではないか、と思う。ここでいう「知らないお客さん」というのは「暢子の知り合い以外のお客さん」のことを指しているのだろうが、劇中では知り合いを連れて再び来店してくれた休業明け初のお客さんが態々帰るのを見送ってから満席の店の様子を確認して「知らないお客さんで満席だ!」と達成感に満ち溢れた表情をするから、なんか「初来店してくれた人で満席にすること」に拘っているように見えて、折角お店の味を評価してリピートしてくれたお客さんを軽んじているようにも感じてしまう。ここでも「恋愛編」で和彦と交際を始めた時同様の何とも言えないモヤモヤ感を生じさせていたように感じた。

 

 

  • 最後に…

自分はこれまで不満はあれど、どちらかといえば擁護派だったが、最終回まで1ヶ月を切ったタイミングで「…」みたいな気持ちがかなり大きくなってきた。ここまで来たら最後まで視聴を続けるが、せめてラストは「観てて良かった」と思える展開にして欲しいと願うばかりだ。

 

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