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「有線イヤホン」と「ワイレヤスイヤホン」と「うるさい」の対比、川口春奈×目黒蓮・木10ドラマ『silent』初回ネタバレ感想

川口春奈主演『silent』の初回を観た。

 

  • 高校2年生と26歳の対比

本作は「川口春奈演じる主人公が高校時代の元彼と再会したら、彼は耳が聴こえなくなっていて…」という内容のラブストーリー。主人公は高校時代に付き合っていた彼氏に上京後、「好きな人ができた」という理由で一方的に振られていた。しかし実際彼は「耳が聞こえなくなった」という理由で彼女のみならず高校時代の友人を避けていたことが明かされる。初回では2022年の今を生きる26歳の彼女たちと2010年代前半に過ごした高校時代の彼女たちが対比される形で描かれる。その対比で象徴的に使われるのが「イヤホン」、高校時代の彼女たちが使っていたのはiPadと耳をコードで繋ぐ「有線イヤホン」だったのに対して、今の彼女は「繋がっている」ことがコードによって可視化されていない「ワイレヤスイヤホン」、この2つのイヤホンの対比が高校時代と今の彼女と彼の関係性を示している。そして彼女が彼とクリスマスにプレゼント交換をして貰った「有線イヤホン」から音が聞こえなくなった時期と彼の耳が殆ど聴こえなくなってしまった時期が重なるという演出も切ない。

 

 

初回のクライマックスでは2人が異なる言語を使うことで、同じ言語を使っていた高校時代のようなコミュニケーションが取れなくなってしまった、ことが描かれる。ここで彼から彼女に放たれる「うるさい」という言葉が、高校時代の「うるさい」とは意味が反転しているのも辛かった。

 

※個人的にクライマックスのシーンはテレビの字幕放送の字幕含めて、両者の字幕はなくして、片方の言語しか持ち合わせていない視聴者に2人の疑似体験をさせる演出があっても良かったのかな、とは思った

 

【2話目視聴後の追記】高校時代にイヤホンで音楽を聴かせて貰ったことをキッカケに繋がった2人が、8年後にイヤホンをキッカケに再び繋がり出すという流れも良い、「有線イヤホン」から「ワイレヤスイヤホン」に時代が変わったからこそ再開できた、というのも運命的

 

 

  • 「ろう者」を扱うドラマとして

初回からSNSでは「泣いた」と話題になった本作だが、「ろう者」を扱うドラマ、特に恋愛ドラマだと「耳が聴こえないことが2人の恋愛の壁という名の感動要素になって消費されている」という趣旨の指摘が常にある。また日本の地上波ドラマだと耳が聴こえない役を実際のろう者に演じさせる当事者キャスティングをすることが殆どないので、手話が他者に通じる域に達していないなど問題点も多い。一方で本作は主要キャストのろう者こそ聴者の役者が演じているものの、主要キャストの友人役に当事者キャスティングをしていることなどから、放送前から「これまでのこの手の日本のドラマとは違うのかも…」という視点でも注目を集めていた。そしてその視点から初回放送の中で最も注目を集めていたのが、手話の先生による「聴者は手話のできる人を絶対いい人だと勝手に思い込む、優しい。思いやりがあると…」という趣旨のセリフだった。実際、手話は世界中にある数ある言語の一つであるにも関わらず、日本人が英語や韓国語などの言語を学ぶことと同じように捉える人は多くはない。これはやはり手話を英語などの言語と同列に扱っていない、こちら側の気付かない偏見があったのだな、と反省した。他にも本作や本作の世間の反応に対して聴者の自分には分からないポジティブな意見、ネガティブな意見など色々あるのだろうから、自分が出来る範囲で触れていきたいな、と思った。

 

 

  • 最後に…

公式Twitterの2話目の次回予告の全セリフに字幕がついている本作。日本のドラマの中で先進的な挑戦をしているが故の批判意見も出てくると思うが、色々な意味で話題になるドラマになることを祈る。

 

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